日本人はお金を持っていようが持っていまいが、幸せになれないケースが多い──ベストセラー『カイジ「命より重い!」お金の話』(サンマーク出版刊)の著者である木暮太一氏はそう指摘する。それは日本人に「お金の哲学」がないからだという。木暮氏はこう語る。

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 お金を感じる機会が少ないと、マネー・リテラシーはどんどん低くなる。ライブドア元社長の堀江貴文氏は、多くの日本人が成功者を妬む気持ちを持っているという主旨の発言をしていた。

 妬みの感情が強いのは、「その人が何をしたから金持ちなのか」という視点が欠けているためではないか。堀江氏のようにビジネスで成功した経験のある人は、お金はツール(手段)であり、目的は別にあると考えているが、妬む側には金持ちになるステップや方法、その先のビジョンが理解できない。だから富を手にした人を目にし、「天から与えられた特権」のような不公平を感じるのだろう。

 札束のことしか考えていないのは、お金持ちではなく妬む側なのである。嫉妬ばかりでお金の哲学を持っていない人は、お金を持つと不幸になるケースが多い。典型が宝くじで高額当籤した人の破産だ。お金への哲学がないと、欲望を止めることは難しい。

 私自身は、お金はないよりもあったほうがいいとは思う。ただ、お金で必ずしも問題が解決するわけではなく、人によってはお金を稼ぐ過程で不幸になっていくかもしれない。「そんなことになるなら、お金はなくていい」と思うのも確かに一つの考え方だが、だからといって故意に低い年収を目指すのもおかしな話だ。

 プアであれ、金持ちを目指すのであれ、お金に自分なりの意味づけをする必要がある。幸せになるのか、不幸になるのか。それを左右するのは収入の多寡ではない。本人の意識なのである。     

※SAPIO2013年11月号