【今回の質問】

アベノミクス相場の急落によって大損しました。様々な業種に分散投資し、十分にリスクヘッジをしていたつもりでしたが、あまり意味がありませんでした。何が問題だったのでしょうか?(会社員・29歳)

女子高生と山田真哉の「5分間会計学」

 株式投資の世界では、全業種、全銘柄が一斉に値上がりし、投資家の大半が大儲けすることはよくあります。直近のアベノミクス相場もそうでしたが、日経平均株価が順調に上がっている間は多くの投資家がハッピーで、世の中の雰囲気も前向きになります。ところが、一転して下がり始めると、これまた全銘柄が一斉に沈み込むことがよく起きます。

 ムードや雰囲気に大きく左右され、一様に急騰、暴落してしまうのが株式投資の怖いところ。良くも悪くも一蓮托生の面が強いんですね。

 こうしたリスクを避けるため、資産を預貯金と株だけではなく、投資信託や外貨、金(ゴールド)、不動産などにも分けて投資していくのが、分散投資。幅広く投資することで、株価の乱高下や急激な為替の動きなどによる損失を軽減することができます。

 そこで取り上げたいのが外貨への投資です。アベノミクスによって株価が急上昇を続けたことで、ここ数か月は株式投資ばかりが注目されました。しかしこの間、長期的な円高傾向に歯止めがかかり、急激な円安へのシフトも起きました。株式同様、外貨投資で大幅に利益を得た人は少なくありません。

 例えば、昨年11月の1ドル=80円の時に米ドルを買った人が、今年5月の1ドル=100円の時、円に売り戻していたとすれば、単純計算で約25%もの利益を得ていた計算になります。

 私も米ドルや豪ドル、NZ(ニュージーランド)ドルに約450万円を投資していますが、この半年あまりで100万円ほどの利益を得ました。

◎預貯金+株式のみは様々なリスクも

 外貨を併せ持つことの最大の狙いは、資産の大幅な?目減りリスク?を避けることにあります。資産のすべてを預貯金で持っていると、インフレによる目減りが大きいですし、そこに株式投資を加えるだけでは、前述のような一斉下落リスクがつきまとい、不安は解消されません。

 このため、さらに広範な分散投資が必要となるわけですが、投資信託や金、不動産などは、手数料や最低投資額がやや高いという難点があります。

 そこで歴史好きの私は、三国志の諸葛亮孔明にちなんで、「天下三分の計」ならぬ「資産三分の計」を提唱しています。具体的には預貯金と株式、外貨の3種類を預貯金7、株2、外貨1ぐらいの割合で持つことをオススメします。

 そのココロを「魏・呉・蜀」の特徴になぞらえて説明してみましょう。

 手堅い国家戦略で中原を制した「魏」のように、やはり預貯金は資産戦略の大黒柱。ただし、手数料や金利面で有利なネット銀行などに預け入れることも忘れずに検討してください。

 一方、株式は、元海賊を将軍に据えるなど将来性ある人材を登用した「呉」のようなもの。成長力がある企業を発掘し、資産の一角に据え置くことで、将来、強力な力を発揮してくれる可能性があります。

 そして、「蜀」が国外に目を向け、南蛮との交易を図ったように、私たちも世界の情勢を見ながら外貨を有効活用していく。これら3つの資産を持つことには、それぞれ異なった意義があるのです。

女子高生と山田真哉の「5分間会計学」

◎外貨MMFなら4%超の高金利も

 さらに、外貨には高金利という魅力があります。

 例えば、外貨建ての代表的な金融商品である「豪ドルMMF」の金利は2%台、「南アフリカランドMMF」の金利は4%台で推移しています。円の普通預金が0.02%前後であることから比べれば、破格の好待遇だと言えます。

 ただし、外貨は為替の変動によって大きく資産価値が変動します。その変動額の幅に比べれば、金利の恩恵などあっという間に吹き飛んでしまうことも忘れてはなりません。したがって、外貨選びの際には、目先の金利だけにとらわれないように注意してください。

女子高生と山田真哉の「5分間会計学」

 手軽に始められるのは、外貨預金と外貨MMFです。MMFはマネー・マーケット・ファンドの略で、公社債や短期金融資産で運用される投資信託のこと。外貨MMFの対象通貨は、米ドル、ユーロ、豪ドル、英ポンド、南アフリカランドなど様々な種類があり、1000円前後から購入可能となっています。主な証券会社のほか、一部の銀行でも買えますが、購入時にも売却時にも為替手数料がかかりますので、手数料は十分に比較してください。ネット系や外資系銀行のほうが比較的安いようです。

 さらに外貨MMFには、2015年末まで為替差益が非課税になるというメリットがあります。随分、円安が進んだとはいえ、まだまだ円が強い今こそ、外貨投資を始める検討をしてみてはいかがでしょうか。

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『問題です。2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい』

山田真哉

一般財団法人芸能文化会計財団理事長・公認会計士・税理士。160万部突破の『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』ほか著書多数。最新刊『問題です。2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい』(小学館刊、1365円)も5万部突破!