日本代表の欧州遠征は2連敗(セルビアに0−2、ベラルーシに0−1)に終わった。

結論から言うと、このまま来年のブラジルW杯を迎えたら悲惨なことになる。グループリーグで3連敗もあり得るね。ザッケローニ監督率いる日本代表について、その選手選考や戦い方など僕はこれまで何度も疑問を呈してきたけど、いよいよ手詰まりになってきた。もう限界だよ。

初戦のセルビアはレベルの高い欧州の中堅国らしく、球際の激しさはさすがだった。でも、彼らはすでにW杯欧州予選での敗退が決まっている。ホームでもモチベーションが高いようには見えなかった。W杯本番を想定するなら、日本は引き分け以上に持ち込むべき試合だった。続いて対戦したベラルーシは欧州予選でグループ最下位の弱小国。アウェーとはいえ、絶対に勝ちたい相手だった。

そんなW杯に出られない2チーム相手にいいところなく連敗。残念ながら、それが今の日本代表の現実だ。

日本の戦いぶりはとにかくもどかしかった。パスをつなぎ、相手にプレスをかけられたら後ろに戻す。その繰り返しで前に進まない。ボールを保持していてもどこか自信がなさそうで、結局、シュートまで至らない。まるでジャブしか打てないボクサーみたいだ。

そうこうしているうちに相手のカウンターであっけなく失点を喫してしまう。6月のコンフェデ杯(3戦全敗9失点)、8月のウルグアイ戦(2−4)の教訓を生かせずに、同じような負け方を繰り返しているんだ。ほかのW杯出場国なら、とっくに監督更迭だよ。

当のザッケローニ監督は「修正したい」と言っていたけど、具体的に何をどうやって修正するのか。選手たちの「もっとレベルを上げないといけない」というコメントももう聞き飽きた。

また、今回も“メンバー固定”の弊害が出たね。香川や吉田など、所属チームで試合に出ていない選手はやはり厳しかった。特に、香川は90分間戦えるコンディションではなかった。所属チームで試合に出ている選手にしても、今季は昨季ほど活躍していない選手が多い。にもかかわらず、なぜザッケローニ監督は頑なに同じメンバーを使い続けるのか。たびたび欧州組の視察に行っているけど、試合で起用するのは同じメンバーでコンディションは関係ない。意味がわからないよ。

いずれにしても、このままではW杯本番で戦えない。今からチームを変えるには、その時点でコンディションがよく、運動量を期待できる選手を起用し、2010年南アフリカW杯のときのようにカウンター狙いの守備的なサッカーをやるしか手はないだろう。実際、昨年10月のフランス戦では、そうしたサッカーで結果(1−0)を出しているわけだからね。

でも、おそらくザッケローニ監督は今後も自分のやり方を変えないだろう。また、日本サッカー協会もザッケローニ監督に注文を出さないし、マスコミもファンも大きな批判の声は上げないだろう。みんな、もう諦めちゃったのかな。僕には不思議でならない。

11月には再び欧州遠征がある。セルビア、ベラルーシよりも強いオランダ、ベルギー相手に、今の日本代表は勝ち目がない。ただ、戦い方や監督を変えろといった、何かしらの変化を求める世論を喚起するには、いっそのこと、このままの状態で戦ってボコボコにされたほうがいいのかもしれないね。

(構成/渡辺達也)