【無所可用】第62回  里山にDMH17Cが響く〜小湊鉄道訪問記〜

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毎度古い話が多い「無所可用、安所困苦哉」でございます。今回は、久しぶりの鉄道撮影行、秋めいてきたある日、千葉県の小湊鐵道を訪ねてまいりました。

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列車を乗り継いで内房線五井駅に到着します。内房線と小湊鐵道とは跨線橋で繋がっており、SUICAに対応していない小湊鐵道への乗り換え客向けに、簡易SUICA読み取り機があります。小湊鐵道の乗車券は跨線橋に設置された券売機で購入します。一日乗車券や、いすみ鉄道と共同発売の房総横断乗車券なども購入可能です。
また、跨線橋上では弁当や惣菜が売られています。しかも通常の駅弁に比較するとかなり安価です。私もここで弁当を購入し、小湊鐵道のホームへ向かいました。
9時29分発上総中野行きに乗車します。小湊鐵道の車両はすべて「キハ200」型ですが、よく見ると細かい部分がちょっとずつ異なります。ちょっと違う同士が連結していたので撮っておきましたが、一見わかりませんね。

ちょっと異なる部分

まぁ今回は細かいところは置いておき、列車の乗り心地と撮影を楽しむことにします。
乗車した列車は1輌ですが、車掌さんが乗っています。ワンマン化されていません。途中の無人かつ券売機のない駅からの乗客には、車内で切符を発行します。

上総牛久駅をすぎると、車窓はぐっと「里山」という雰囲気になります。撮影に適した場所は沿線にいくつも見当たります。
途中、里見駅では列車交換があります。ここは2013年から交換設備が復活した駅です。そして自動閉塞ではなく、通票閉塞式で復活しました。通票交換が再び日常化するとは、結構なサプライズです。いわゆる信号機はありません。ホームは上下線でかなり離れているので、駅長さんは通票を持ってホームの端から端まで走っています(いやマジで)。

通票授受の風景

次の飯給(いたぶ)駅は、単線にホームと待合室だけの簡素な駅ですが、桜や菜の花の季節には名撮影地と言われる駅です。でも今回は情景を眺めて、養老渓谷駅を目指します。

養老渓谷駅には数人が降り立ちました。多くは渓谷の方へと向かいますが、私は一人、五井方面に向かいます。列車は上総中野へ向けて走って行きました。
線路脇の道から、ちょっと遠回りの道を経て、いかにも里山、という、刈り終わった田んぼの中を行く場所に出ます。今日はここで撮影です。
風がちょっと強く、雲がかかったり日が出たりを繰り返しますが、秋らしい風です。もうちょっと早く来れば、この線路沿いには彼岸花が見られたのですが、まぁあまり贅沢をいうところでは無いでしょう。

列車は概ね一時間に一本ですが、養老渓谷駅で折り返す列車もあるので、下りが来れば上りもすぐ来る、という感じです。

里山を行く列車

誰もいないかと思っていましたが、地元の方お二人とお会いしました。お一人はおばあさんで、列車に乗るそうでしたが、近道だし坂がないからと200mくらい線路を歩いていってしまいました。確かに杖をついて歩いておられたので大変なのはわかりましたが、線路は砂利が敷いてありますから、それはそれで大丈夫かとちょっと気になり、線路脇の道(ここは歩行者専用でしょうが街灯もあり敷地ではなく道です)に出るまで見送りました。おばあさんにとっては日常なのでしょうが……気は心。
もう一人はこの田んぼと畑の地主さんでした。「列車なかなかこないからねぇ」と優しく声をかけていただきました。地主の方が認めてくださるというのは有難いことです。

さて昼食。五井駅で買った駅弁です。その迫力と安さで買ってしまったイカ丸煮弁当。これは現物の写真で。

イカ丸煮弁当

さて、タイトルの「DMH17C」というのは、小湊鐵道のキハ200が装備しているエンジンの事です。このタイプのエンジンを使った車輌は、かつて国鉄では大量に製造されましたが、JRにはもうほとんど残っておらず、一部の私鉄でどうにか……という状況です。設計は戦前で力も弱いのでやむを得ないことですが、貴重なエンジン音を響かせています。

里山を行く列車2里山を行く列車3

養老渓谷駅14:39着の列車を撮影し、駅へ戻りました。
駅には女性の駅員さん(気さくなおばちゃん)がいて、切符を売っています。硬券です。硬券で東京駅へ出るのもいいなと思いましたが駅員に渡してしまうのが惜しい。ということで帰りの切符ともう一枚別の切符を書いました。小湊鐵道では切符に行き先がちゃんと書いてある乗車券を売っています。「養老渓谷駅から**円区間」ではなく、「養老渓谷から里見ゆき」等と印刷されています。全部そろえたくなりますがそれはさすがにちょっと無理。駅のおばちゃんと小湊鐵道のこれまでとか今後とかの話でちょっと盛り上がり、五井行きの列車が来たので乗車しました。

今度は桜の咲く頃に来れたらいいなあ、と思いつつ、レールの継ぎ目が多くゴトゴトと揺れる車内、なんとなく懐かしいDMH17Cのエンジン音や駅でのアイドリング音、エンジンは力いっぱい回ってるのにあまりスピードが出ない感じなどを味わいながらの往復は、近距離でしたが楽しいものでした。
11月も後半になると養老渓谷の紅葉も本格化します。里山の秋、渓谷の秋を見に、ちょっと出かけてみてはいかがですか。

(文・写真:エドガー)