10月から、NISA(少額投資非課税制度)の専用口座の開設がスタートしている。NISAを知らない人のためにカンタンに説明をすると、銀行や証券会社で開設したNISA口座で株式や投資信託を売買すると、そこで得られた利益については非課税になるという制度である。

 制度のスタートは2014年1月からで、その時点では、株式や投資信託で得られた利益に対する税金は20%(正確には20.315%)。10万円の利益が生じれば、約2万円が税金で徴収されることになる。それがNISAでは非課税となる。つまり税金は0円。年間の投資額は100万円までなど、さまざまな条件があるものの、メリットは分かりやすく、大きいといえる。

 そのため、NISA口座を開設する人はかなりの数に上っている模様。9月末の時点では、証券会社だけで300万口座を超えると予想されている。これまで投資や資産運用の経験がない人の申し込みも目立っているという。

 NISA口座は、銀行や証券会社などで開設することになる。すでに、顧客獲得のため、各金融機関でさまざまなNISA向けキャンペーンを展開しているが、特に、競争が激化しているのはネット証券各社だ。売買手数料無料はあたりまえ、なかには、株式売買手数料の無料化を?恒久化?しているところも登場しているほど。以下、個別に紹介していこう。

【松岡賢治のマネーtab】手数料ゼロは当たり前!ネット証券のNISAキャンペーンは要チェック

■松井証券のキャンペーンは本当に得?

 まず、株式売買手数料を無料としているのは、SBI証券と楽天証券。国内で上場されている株式の購入および売却に関して、2014年中の1年間は0円としている。両社とも回数に制限はない。

 この内容を上回るのは松井証券だ。国内株式の売買手数料を、NISA口座での売買ができる2027年まで(新規投資は2023年まで)、無料にするキャンペーンを打ち出している。現在、国内株式の売買手数料に関して、これ以上のキャンペーンを打ち出しているのは、大手証券を含めて見当たらない。しかも、松井証券では、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の売買手数料も27年まで無料化するとしている。

 キャンペーンでやや見劣りしているのは、マネックス証券とカブドットコム証券。マネックス証券は、同社で取り扱っている投資信託の全銘柄の購入手数料を無料としている。そして、カブドットコム証券は、国内株式と、ETF、REITの購入手数料(売却は有料)を14年中無料とし、さらに、口座開設をした人には500円プレゼントも実施している。

 キャンペーンの内容だけ比較すると、松井証券がダントツなように見えるが、注意が必要だ。NISAの投資金額は年間100万円が上限で、いったん売却をすると、その分は100万円の枠の一部を使ったことになる。例えば、100万円で株を購入して売却をすると、その年の投資枠をすべて使い切ったことになってしまう。NISAの年間投資枠は5年間継続できるが、ひんぱんに売買を繰り返してしまうと、本来の目的である中長期の資産運用ができなくなってしまうのだ。これは株式に限らず、投資信託やETFについても同じ。

 すでに株式投資の経験がある人は構わないが、未経験の人は、NISAで個別株の投資をするのは止めた方がよいだろう。そもそも、個人の資産運用において、個別株への投資は、リスクが高すぎる。よって、株式の売買手数料無料というのは、ベテランの投資家にとってのメリットとなってくる。

■口座開設までに時間がかかる

 一方、投資信託に関しては、もともと販売手数料がゼロとなっている「ノーロード型」も多い。投資信託をキャンペーンの対象としている会社が少ないのは、こうした背景もあろう。

 個人的に、投資や資産運用にビギナーには、NISAでの投資は投資信託(ETFを含む)が向くと考えている。したがって、ビギナーの人にとっての金融機関選びのポイントは、自分の買いたい投資信託がラインナップされているかどうかが重要だ。まず、そこを確認した上で、キャンペーンを比較するようにしたい(その点で、松井証券のETF売買手数料無料は評価できるが、投資信託の扱いがないのが残念……)。

 また、NISAは14年1月から始まるものの、口座開設は14年以降も可能なのであせる必要はない。まだまだ余裕はある(ただ、実際に申し込んで開設するまでには1か月程度はかかるようなので注意が必要)。利益が非課税となるメリットは大きいだけに、資産運用を考えている人は、ぜひ活用してもらいたい。

(文/松岡賢治)

マネーライター、ファイナンシャルプランナー/シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。最新刊に『人生を楽しむマネー術』(共編著)。