田中聖解雇...「内部ではジャニーさんの威厳が弱まっている」

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ジャニーズ事務所は9日、「度重なる事務所のルール違反行為があったことから、9月30日付にてKAT―TUNの田中聖(27)との専属契約を解除」と発表した。

「内部ではジャニーさんの威厳が弱まっている」

確かに活動・活躍中のグループメンバーが契約解除(解雇)とされるのは異例だし珍しいことだが、じつは「初」ではない。他メディアでは「初」とか「前代未聞」と大きく大げさに綴っているが、このような事例は過去に少なくとも2例以上はある。有名どころではフォーリーブスと男闘呼組だ。詳細は省くが、どちらもメンバーの解雇によりグループそのものが解散した。

KAT-TUNの場合、解雇ではないが先に赤西問題が発生したがグループは継続、今回の田中解雇でも解散はなく、KAT-TUNは続行する。どちらかといえば、こっちのほうが珍しい。もしかしたら、これこそ「初」かもしれない。近いところではNEWSや関ジャニ∞がいるものの、これれは自主退社や懇願ソロであって解雇ではない。SMAP森且行も自主退社。ちなみにメンバーが自らの意思で辞め、グループが名前を変えて活動を続けたのは光GENJIだけだ。

一方、未成年による喫煙や飲酒に女性問題があってもそうそう簡単には解雇とならないのもジャニーズだ。解雇にできない、あるいは解雇すべきではない理由もあるが、この所属タレントを守る姿勢はこれまでに多くのジュニアに適用されてきた。過去に大きな過ちがあっても特別な扱いを受けられる代表例として、近年では内博貴があげられる。

ジャニーズの場合は、9月締めの10月スタートという所属契約が基本。今回もタイミングが良すぎるので、ただ更新しなかったのではと思ったが、田中聖はしっかりと解雇の宣告を受けた。田中はジャニーズにとって異例というより異色だった。彼の独特な個性は自ら作り込んだもので、同じタイプの赤西仁にしても自分は特別というポリシーが大きな勇み足となってしまった。

山下智久は自らNEWSを脱退してソロ活動。錦戸亮も関ジャニ専念など、それぞれの意思が尊重されているのが事実だとすれば、ジャニーズは大きく変わってしまったと言える。ジャニーズは本来、所属タレントが自分の好き勝手にセルフプロデュースできるような世界ではない。ジャニー喜多川社長とメリー喜多川副社長の絶対的存在がおかれるジャニーズなら特にそうだ。

一般的に見て「組織の一員」の観点からすればわかりやすい。グループ(チームや班)での活動を基本にしていれば自然と上司や同僚とは上手くやってきたい、あるいは嫌われたくはないし好かれたいと思う。裏でどう思っていようが、仕事の現場ではその姿勢は重要である。だからこそ日本では協調性が重んじられている。

だが、このKAT-TUNからメンバーがひとり、ふたりと離脱して綻んでいく姿を見ると、ジャニーズという組織の威厳に変化が生じているのがわかる。KAT-TUN以前には、タレント個人が自分の都合でグループは嫌、ソロでやりたいという、といったことはなかった。そんなワガママがジャニーズでまかり通るようになったのは、「KAT-TUN」が大きな節目になっていることがわかる。

たとえば、ジャニーズの「KAT-TUN前」を見るとどうか。TOKIOやV6、KinKi Kids。もっとわかりやすく言えば、タッキー&翼なんて二人でやる意味があるのかどうか。周囲が感じている以上に本人たちは疑問に思っているかもしれない。そしてSMAP。中居正広や木村拓哉くらいになれば誰もその意図を問わないだろうが、ジャニーさんの考えは「1+1=11」なので、メンバー5人いれば5ではなく11111の力が発揮できるというビジョンだ。SMAPはドームを何度でもイッパイにできるが、木村ひとりでは厳しいだろうし本人だってやりたくないだろう。中居の場合はゲストとネタで客を呼ぶかもしれない。だが、もはやNEWSやKAT-TUNにはそのような将来ビジョンは見られない。

少年隊やV6などは活動がほとんどないのに「グループ」としての立場を守り、その上に自分があるという強い意識を持ち、それをステータスとしている。彼らからすれば「今時の若いものは......」といった見解になるかもしれない。俺たちの時代にはそんなこと出来なかったと。田中の場合もこれまで散々注意をしてきた結果とあるが、それでも言うことを聞かなかった意図は何か。赤西の「とりあえず無事」というのを見ていたのかも知れないし、みんな勝手にいろいろやっているからという見解だったかもしれない。

最後に今回の田中聖解雇騒動でひとつ思うところは「競争」の欠如だ。天下のジャニーズと言えども誰でも売れるわけではない。その昔は競争だった。ジャニーズに入れるかどうか、ジャニーズの中ではデビューできるかどうか、デビューした後からは更なる過酷が待っていた。他事務所から出てくる男性アイドルとの競争が余儀なくされ、毎日が戦いだった。かつては本気でほかのタレントや歌手と「新人賞」を争い、勝ち取って喜んだものだが、今ではほとんどの賞が出来レース化して、ジャニーズが受賞するのが当たり前のようになっている。「ベストジーニスト賞」がジャニーズのプロモーション用のイベントになっているような状況だ。

今ではジャニーズ事務所という大きな豪華客船の乗り、その護衛にはメディア艦隊がついている。芸能界は今でも過酷な競争社会だが、ではジャニーズからのデビュー組はどうか。周囲の関係者の誰もが単純に「ジャニーズだからね」で納得するので、本人は顔を覚えてもらう、自分を知ってもらうという努力もなく、すんなりと芸能界に受け入れられるのが現状だ。

それにしても、ジャニーさんの心情を思うと辛い。もうすぐ82歳だというのに、本来ならあってはならない事件や事故についての面倒はかなりの心労だろう。ジャニーズのタレントが起こす騒動は、事務所内での潰し合いにしか思えないところも多々ある。ジャニー喜多川とメリー喜多川と言えば誰もが恐れるジャニーズ帝国を築いた覇者であり、その国内では神であるべき人物だ。しかし国民は好き勝手にやりたい放題......。今のジャニーズ事務所には何かが失われて、何処かで狂っている、そんな気がするのは確かだ。

「帰ってきたカルチャースタァ☆平本淳也」


Profile●ジャニーズ出身の実業家、作家、投資家。10歳でジャニーズ事務所から芸能界入り、30歳過ぎまでアイドルを続け、現在もテレビや雑誌で活躍を続けるなか、月間100万アクセスを獲るカリスマブロガーとしても知られる。22歳のときに物書きデビューして以来、34冊の書籍を発表。http://ameblo.jp/junya-hiramoto/

Written by 平本淳也/日刊ナックルズ編集部

Photo by 24HOUR TELEVISION必殺仕事人 2013 [DVD]