昨年2012年に、国交正常化40年を迎えた日中関係。昨年8月から9月にかけては、尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権を巡り、中国で過去最大級の抗議デモが起き、その様子は日本でも報道されました。過去40年間で最悪ともいえる関係の中、内閣府が同年9月末から10月初めに行った世論調査では、中国に親しみを「感じない」と答えた人は、過去最高の80.6%に達しました。

反日デモの激化から1年。今でも、中国には14万人以上の日本人が住んでいます。現地に住み続けている日本人は、中国の現実、中国人の本音、そして日中関係の行方をどのように見ているのでしょうか。駐在員、ブロガー、建築家、NGO代表、日本語教師、寿司職人、俳優、主婦、高校生...。中国に住み、中国と深いつながりを持つ日本人108名が、特定の政治的立場からではなく、自らの目で見た「中国の素顔」を語ったのが、書籍『在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由』です。

昨夏、日本のメディアでも報道されたことで衝撃を与えたのが、日系スーパーが反日デモ隊の襲撃を受けて、メチャクチャに破壊される映像です。客も従業員も中国人で、並んでいる商品も中国製であるにも関わらず、店内の窓ガラスが割られ、棚がひっくり返され、高価な宝飾品が強奪されたことで、被害総額は7億円にのぼりました。

中国に赴任して6年目となる同スーパーの経営企画室室長は、予想外の出来事に「従業員は引き続き働いてくれるだろうか?」「お客さんは、また戻ってきてくれるのだろうか?」との心配が浮かんだそうです。壊された店内は時間をかければ回復できますが、人の心はそうはいきません。顧客第一をモットーに、従業員も誇りを持ってくれているという自負はあったものの、従業員の家族や知人が「あんな危ない店で働くのか」「日系企業はやめた方はいい」などと、勧める可能性もありました。

店舗の復旧を前に必要となったのは、従業員への意思確認。その重責を担ったのが、同店の中国人店長でした。彼は、日本人も中国人も関係ない、同じ職場の仲間として、従業員一人一人に「こんなことに負けてはいけない。力を合わせて頑張ろう」と呼びかけたそうです。

警察による現場検証が終わり、店内に入ることが許されたのは、デモから4日目。当日、大方の心配をよそに、復旧作業の為に店に戻ったのは、350人の従業員全員でした。店長のもとに結束した中国人従業員たちは、更なるデモの標的となる可能性があるにも関わらず、1人の退職者を出すこともなく、日系スーパーの再生に挑んだのです。

従業員たちに支えられ、デモからわずか10週間で、スピード復旧を果たした同店。正常営業当日には、売上最高記録を更新しました。つまり、中国人のお客は、日系スーパーの営業再開を心待ちにしていたのでした。

本書で語られているのは、現場に居合わせた者にしか語ることの出来ない、生の証言です。ニュースの裏側から見えてくる中国の"素顔"とは、どのようなものなのでしょうか。



『在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由』
 著者:
 出版社:阪急コミュニケーションズ
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