保有株の一方は含み益でも、もう一方は含み損を抱えていたり、すでに確定した利益や損失があったり、損益状況は複雑。でも、この「ケーススタディ」を読めば悩む必要なし!


損失も年内確定で利益を圧縮すべし

「?年内〞のうちに、利益が出ている株は売却」が大原則の証券税制対策だが、損失についてはどう対処すべきなのか?松井証券の増田さんは、「含み損を持ち越したほうが、高い税金のかかる来年以降の利益を圧縮できて有利なように思えます。しかし、確定申告で損失の繰越控除を行えば3年間利益と相殺できますし、損失を持ち越しても今後利益が上がらない限り、持ち腐れになる可能性もあるわけですから、含み損を持ち越すほうが有利とは限りません」と指摘する。

損益別に5つのパターンで試算!

保有株の損益状況は人それぞれだが、大まかにパターンを分けられる。今回は、?含み益のみ、?含み損のみ、?含み益が含み損より多い、?すでに確定した利益+含み益、?すでに確定した損失+含み益、という5つのパターンで、各ケース別改善策をシミュレートした。

CASE-1 年間通算損益0円・保有株は含み益

含み益しかない“勝ち組”は素直に年内利益確定で3.6万円もお得

みずほフィナンシャルグループ株を170円で1万株購入した場合、現在値が206円だとすると36万円の含み益。年内売却なら「36万円×税率10.147%(1円未満は切り捨て。以下同)」で支払う税金は3万6529円。対して利益確定を来年まで持ち越した場合は「36万円×20.315%」なので7万3134円に跳ね上がり、3万6605円も余分に支払うことに。
だからこそ、素直に年内利益確定すべし!

これが正解! :今年売却したほうが得

CASE-2 年間通算損益0円・保有株は含み損

含み損だけなら将来のプラス転換期待で、越年持ち越しも可!

三井住友フィナンシャルグループの株を4800円で500株購入したものの、株価が4450円まで値下がりした場合、含み損は17万5000円。ほかに今年確定した利益がない場合は節税に関係ないため、売り急ぐ必要はない。プラス転換しなくても、含み損が17万5000円のまま推移した場合、来年以降に別の株で利益が出た際に最大3万5551円分の税金圧縮効果を期待できる。

これが正解! :売り急ぐ必要なし

CASE-3 年間通算損益0円・保有株は含み益

含み益株と含み損株は2銘柄とも年内決済で利益を圧縮する!

プラス36万円の含み益があるみずほ株とマイナス17万5000円の含み損がある三井住友株を同時に売却するなら、年内のほうが来年より1万8811円も得する。
悩ましいのは、みずほ株を年内に売却(税額は3万6529円)して、三井住友株を持ち越す選択肢。仮に来年以降も三井住友株の含み損が17万5000円で変わらない場合、ほかの株で17万5000円以上儲けることができたら三井住友株の含み損17万5000円×税率20.315%で、すなわち3万5551円分の税金圧縮効果を期待できる。
とはいうものの、来年になって利益が出るか出ないかは風まかせ。素直にみずほ株の利益と年内に損益通算して、今年納める税金を減らすほうが無難だろう。

これが正解! :2銘柄とも今年売却したほうが得

CASE-4 年間通算損益+50万円・保有株は含み益

確定利益プラスみずほ株の含み益を三井住友株の損切りで圧縮!

すでに今年50万円の利益がある場合も基本は同じ。2銘柄同時売却すれば来年売却するより1万8811円もお得に!
年内にみずほ株の利益だけを確定した場合は、今年納める税金が8万7264円に増え、三井住友株の含み損17万5000円の利益圧縮効果が来年以降3万5551円分期待できる。
ちなみに含み益より含み損が多い場合は、今年中の同時売却による損益通算で利益を0円にし、残った損失は確定申告して3年間の損失繰越控除制度を活用する。