日銀が異次元金融緩和に踏みきり、長く日本経済を苦しめていたデフレから脱却し、インフレ局面に向かおうとしているが、こうした環境下で資産を防衛するにはどうすればいいのか。経済アナリストの森永卓郎氏が解説する。

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 投資などで儲けようとは思っていなかった人でも、これからは好むと好まざるとにかかわらず、自分の資産を守るために動かざるを得なくなります。仮に年に2%の物価上昇が続けば、10年後には今より20%以上も上昇することになります。銀行に普通預金で預けたまま10年間放ったらかしにしていると、その実質価値は2割減ってしまうことになるのです。

 安倍政権の行なう政策は、規制緩和と金融緩和を両輪とするもので、まさにかつての小泉政権とまったく同じです。ただし、安倍政権の方がやり方は極端で、小泉政権は格差社会を生み出しましたが、安倍政権は超格差社会を作ろうとしているとしか思えません。

 たとえば、正規社員の解雇規制の見直しを打ち出してクビ切りをしやすくする方針なので、ブラック企業といわれるような企業がますます隆盛となり、資本家階級がさらに多くの利益を手にする。その一方で、労働者階級は賃金が上がらないまま大増税を強いられ、生活がますます困難になるという社会構造になっていきます。

 では、庶民は生き残るためにどうしたらいいのか。資本家の金儲けのやり方に素直に乗るべきだと思います。具体的には、安倍政権が踏襲する小泉政権時代に何が起こったかを振り返れば、参考になることが多いと思います。中でも、小泉政権下の5年間で日本企業の経常利益は2倍に増え、配当金は3倍に増えたことはとても重要だと考えられます。

 その観点からいうと、庶民にとっても株式投資こそが最も有効な資産防衛術になりそうです。次が投資信託の購入。一番損をするのは現金で資産を保有し続けることです。

 アベノミクス効果で上昇したとはいえ、日本株がまだまだ割安な水準にあるのは間違いありません。東証1部銘柄の現在の平均PBR(株価純資産倍率)は1.3倍台です。だが、先進国市場の平均PBRは約2倍。もし日本が先進国水準並みに回復すれば、計算上は日経平均株価が2万5000円になってもおかしくありません。

 日銀の資金供給量=マネタリーベースの推移を見ると、日銀はまだ金融緩和する余力を残していると思われますので、日本が恐慌に陥る恐れはなくなったと見ています。ただし、株価は半年後ぐらいの景気動向を先に織り込んで動くので、来年3月末前にも天井を打って下降局面に入る可能性も考えられます。

 それでも、この先の半年間で日経平均は3000円や4000円は上がっても不思議ではなく、3月末までに2万円目前ぐらいまでは行くと見ています。つまり、そこまでは強気に攻めていい。4月以降は安倍政権の政策次第でどう転ぶかわからないので、後で後悔しないよう、このチャンスに大勝負をかけてもいいと思います。

 特に値上がりが期待できるのは、中長期投資を考えるなら、アベノミクスの成長戦略に沿った企業が注目といえます。具体的には、安倍首相は改憲を諦めたわけではないので防衛関連、いずれは再稼働に踏み切る可能性が高いので原発関連、国土強靱化政策の特需を受けるインフラ関連、さらに規制緩和関連などが伸びていくと思います。

※マネーポスト2013年秋号