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千葉県勝浦市でヒートアップしているご当地グルメが「勝浦タンタンメン」だ。通称「勝タン」を提供する店は40軒以上あり、激辛好きが全国から集まる。しかし、あなたが麺マニアならば「勝浦タンタンメン」を初めて見ると、きっと「あれれ?」と思ってしまうはずだ!

それもそのはず。タンタン麺という割には、マストアイテムであるはずの「ゴマダレ」を全く使っていないのである。 今回はこの少々不思議な「勝浦タンタンメン」を、じっくり現地レポートしよう。

○ゴマダレの代わりに醤油&ラー油

「勝浦タンタンメン」の元祖は、昭和29年(1954)創業の食堂「江ざわ」というのが定説だ。漁師町の勝浦で、漁師や海女さんが寒い冬の仕事帰りに食べるものとして人気に火がついたのがきっかけだ。

店主がある店で食べたタンタン麺を再現しようとしたところ、ゴマの風味を出す芝麻醤(チーマージャン)が手に入らなかったという。試行錯誤の末、醤油スープにラー油を入れて作り上げ、その一品が静かに定着していった。なお、元祖「江ざわ」はご主人が亡くなった後、その息子さんが鴨川に店を移したということで、現在は勝浦には存在しない。

この醤油スープのタンタン麺、勝浦の人々とって違和感はなかったんだろうか?  「私たちはむしろ、これがタンタン麺だとずっと思ってたんですよ」。そう言うのは、「肉屋の食堂 みおや」店主の三尾(みお)忠直さんだ。三尾さんによれば、タンタン麺は醤油味が当たり前。本来はゴマ風味であると知ったのは、もうずっと後のことだったというのだ。

○自家製ラー油に具沢山スープ

そんな「みおや」は昭和40年(1965)の創業だ。目の前に出てきた「タンタンメン」(650円)は、なるほど確かにベースは豚骨、鶏骨からダシを取った醤油味。しかし、スープの表面にはラー油がなみなみと浮かんでいる。スープをひと口飲むと、ラー油の辛みが口いっぱいに広がる。しかも味が深い!

「そうでしょう? うちのラー油は自家製だからね! ゴマ油にひき肉、玉ネギ、味噌、豆板醤、一味を入れて作ってるよ」と笑顔の店主。どうりで味が複雑なわけだ。ストレート系の麺をすすると、挽き肉やら玉ネギやらラー油の具材が一緒に口の中に流れ込む。この食感がまた楽しい。

辛さを我慢しながら食べ進めていくと、身体が温まるというよりポカポカと熱くなる。醤油ベースなのでべったりせず、後口もさっぱりしている。確かに、冬の肉体労働の後に食べると全身が温まるだろう。勝浦で静かに根づいていったその理由が理解できたような気がする。

●infomation

肉屋の食堂 みおや

千葉県勝浦市部原1046

○辛味の後に来る玉ネギの甘さ

せっかくここまで来たのだから、地元で評判の店をいくつか巡ってみたい。「はらだ」は昭和47年(1972)からの営業だ。おかみさんが切り盛りする家庭的な雰囲気の店で、味のバランスを考えて工夫したという「タンタンメン」は650円。

「玉ネギを多めに入れているから、野菜の甘さがじっくり出ている味ですよ」。確かにスープの表面には玉ネギがびっしり。食べるとピリリとした辛さが襲った後に、玉ネギの甘さとうまみが口いっぱいに広がる。実に家庭的な味わいだ。

●infomation

はらだ

勝浦市松野388

○野菜を山盛り盛った一品

最後に足を運んだのは、「うちはなぁ! 『江ざわ」の次にタンタン麺を出してる店なんだよ」とコメントをいただいた「ひさご食堂」だ。店主の吉田弘美さんは御年73歳。タンタン麺を作り続けて45年になるという。

「海女さんに出前を出したのはうちが最初だよ」というから、「江ざわ」同様、「勝浦タンタンメン」のレジェンド的な存在といっていいだろう。この店の名物は「野菜タンタンメン」(700円)。

「最初はすごくラー油を入れていたんだけど、それだと冷えたおなかに刺激が強すぎるってことで。だから1つひとつ野菜と炒めて出すようにしたんだ」。ニラやモヤシ、ニンジンなど野菜がボリューム満点でおいしい!!

●infomation

ひさご食堂

千葉県勝浦市出水1268

ざっと駆け足で紹介した「勝浦タンタンメン」の人気店だが、エリアにはこのほかにも個性的な店がいっぱい存在している。機会があれば是非現地で、お気に入りの店を見つけてほしい。

(OFFICE-SANGA)