明治天皇の玄孫であり、慶応義塾大学講師(憲法学)の竹田恒泰氏が、日本を元気にするための処方箋として、『古事記』を読むことを薦めています。

『古事記』は神話を記したもっとも古い文献であり、いわば、日本という国の原点をまとめた歴史書として知られています。それがなぜ、現代日本の復活につながるのでしょうか?

竹田氏は自身が責任編集を務めたムック本、その名も『日本を元気にする本』(学研)で、理由をこう語っています。

「『古事記』とは私たちにとって何なのか? トインビー(1852〜1883)という20世紀を代表する歴史学者は、『12歳、13歳までに神話を学ばなかった民俗は、例外なく滅びていく』と言いました。彼は世界中の民俗の歴史を研究して、神話を学ばない民俗は、必ず100年以内に滅びていくという法則を発見したのです。なぜそうなるのか。神話は民俗のアイデンティティだからです」

しかし、日本人は幼少時の教育課程で、神話をしっかりと学ぶ機会が少ない。そこに危機感を抱いた竹田氏は自身で翻訳した『現代語古事記』(学研)を出版しただけでなく、日本史を学ぶ研究会「竹田研究会」を定期的に行っています。

同研究会は全国16ヶ所に支部があり、会員数は2万人超。当初は「ちゃんと興味のある人だけに聞いてほしい」という竹田氏の希望もあり、30人限定で開催されていましたが、評判が口コミで広がり希望者が殺到。わずか5年で現在の規模に成長しました。

愛媛竹田研究会の幹事長・若山浩之氏は、講義の模様をこう説明します。

「先生の現代語訳を読みながら、解説をうかがっていると、神話の神様がぐっと身近に感じられるし、とても人間っぽい。ときに『古事記は日本最古のエロ本だ』なんて話も。でも、われわれが教わってきた日本史とはちがって、日本はどのように成り立っていたのか、自分はどこから来たのかを教えてくれるんですね。

たとえば、アメリカだったら独立戦争、フランスだったら革命、でも、日本の場合は神武天皇。こんな国はほかにはない。こういった原点があって今があるのだと、おのずと誇らしい気分が湧いてきます」
(『日本を元気にする本』より)

つまり、日本の歴史の原点である『古事記』を学ぶことは、世界に誇れる日本の独自性を知ることにつながる。そうすれば、日本人は自信を取り戻し、日本全体も輝きを取り戻す――。竹田氏はそんな風に考えているのです。

竹田氏は研究会のほか、全国のホテルに『古事記』を置くプロジェクトも主宰。広く寄付を募り、『聖書』や『仏教聖典』のように、現代語訳の『古事記』をホテルの部屋に常備しておくことを提案しています。

「日本復活」といえば、アベノミクスによる経済効果の話題に終始しがちです。しかし、竹田氏の語るプランは、日本人の精神から変えていこうとする根源的なもの。まさに、旧皇族ならではの視点と言えるのではないでしょうか。



『日本を元気にする本: 竹田恒泰責任編集 (Gakken Mook CARTAシリーズ)』
 著者:
 出版社:学研パブリッシング
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