18位 塩野義製薬(東1・4507/100株)

高脂血症薬が拡大中。米国事業結実はこれから

米国企業の買収で、海外事業に本腰を入れてから今年で5年目。まだまだ市場開拓の途上だが、収益として実を結ぶのを待ちたい。海外売上高は3割ほどだが、将来は5割まで高まると予想する。今期は売上高と営業利益は小幅増の会社予想だが、純利益は大幅な減益予想のため、市場はこれに満足していない。ただ、来期以降も連続増益が予想されることを勘案すると、今の株価はかなりの割安圏にあるのではないか。配当は利益とほぼ連動しており、連続増益となれば当然、連続増配も期待できる。

19位 第一生命保険(東1・8750/1株)

M&Aに前向き。中国進出は成長かリスクか

生保業界で日本生命(非上場)に次ぐ2位の規模を誇る。国内での営業基盤と財務体質の強さは折り紙付きだが、投資家は“安定”だけでは満足しない。2010年4月の上場当初から、アナリスト説明会や記者会見で何度も質問が飛んでいるのは海外企業の買収について。会社側もM&Aによる投資枠を設定し、投資家の期待に応えようとしている。中国進出を狙っているようだが、国情を考えるとリスクが大きく、中国以外のアジア開拓を先行させる方針のようだ。金融緩和による株価上昇と地価反転で保有資産の価値も膨らんでいる。

※ 10月1日より売買単位を100株に変更。

20位 富士通(東1・6702/1000株)

多角化経営が曲がり角に。株価は経営者次第

スーパーコンピューターでは世界的な実力がある一方、パソコンでは苦戦を強いられている。多角化経営が利益につながっていない企業のひとつである。懸案だったアナログ半導体部門の売却が片づき、利益率アップに向けて大きく前進した。クラウド事業など有望分野も多く、あとは経営判断の問題かもしれない。前期はリストラ費用がかさんで最終利益段階で赤字に転落し、今期の黒字浮上に全力を尽くしている。円安が追い風となっているが、商品・サービスの競争力や独自の収益力を見極めて投資したいものだ。

21位 大正製薬ホールディングス(東1・4581/100株)

経営陣はリポビタンDに依存しすぎ!?

“ワシ”のマークの大正製薬は「ファイト・一発!」のリポビタンDが主力商品である。店頭での値引き率の低い「リポD」の売れ行きが経営を大きく左右する状態から脱却することを、投資家は求めている。風邪薬と育毛剤も販売しているが、圧倒的な高シェアというわけではなく、今もリポD頼みが続く。経営陣にとって“リポD依存性”があるのかも。とはいえ、今期予想は2ケタ増益だ。売上高の2倍近くに相当する利益剰余金を活用し、ROA(総資産利益率)を向上させる姿勢を見せると、機関投資家の評価は急速に高まるだろう。

22位 大東建託(東1・1878/100株)

連続増配は通過点。強気の中期計画に注目

賃貸住宅の建設請負に早くからビジネスチャンスを見いだした企業。営業から税務相談、設計・施工管理、完成後の物件管理などを完璧にカバーする体制は、他社にはマネできそうにない。株価は5月の高値の後、極端な買われすぎの反動で下げている。相続税の最高税率引き上げや消費税アップ、アベノミクスによる資産価値上昇効果などで一時は低迷した請負件数も再び上向いてきたようだ。今期予想の5期連続増配はまだまだ長期成長の通過点。中期経営計画では、2018年3月期に営業利益が1120億円と、前期比で43%増に拡大する見込み。

23位 住友商事(東1・8053/100株)

究極の景気敏感株。米国復調で見直し買いも

ニッケルや銅などの鉱物資源から海外の発電所運営、ケーブルテレビやインターネットまでカバーする総合商社らしい企業。8月にはマレーシアの石炭火力発電所建設の受注が株高材料となった。リーマン・ショック前後の景気停滞期にも成長に向けた投資を続けてきただけあって、当面は高い利益水準が続きそうだ。世界経済に敏感な商社は究極の景気敏感株。米国が景気の最悪期を脱し、量的金融緩和の解除に向かう中で、総合商社株には見直し買いが期待できそうだ。配当利回りが高いので、買値を多少下回っても売らない投資家が多いという。