国内最大のガラスメーカー。自動車や建築といった大型品からスマホ向けの小型品まで幅広く取り扱うが、それでもガラスは売り上げの半分弱。電子材料や化学品にも強みを発揮する。円安による自動車輸出の回復はプラス材料だが、円安は原料高を招くため、収益の拡大ペースは緩やか。株価600円でPBR0.6倍台と対資産価値ではかなりの割安圏にある。下値抵抗力は強いが、成長計画はやや迫力不足か。円高に対する打開策も含めて、投資家に外部環境の左右されにくい収益プランを示してほしいところだ。

7位 ファーストリテイリング(東1・9983/100株)

ユニクロが海外でも好調。株式分割は悪材料

カジュアル衣料品店「ユニクロ」の快進撃が続いている。衣料品小売店で世界4位の規模だが、目標は世界一。アジアを中心に積極出店路線を強めており、海外売上高比率は約4分の1まで高まってきた。世界一は遠くないかもしれない。最低投資金額が350万円前後とかなり高い「値がさ株」で、株式分割の噂が絶えない企業である。日経平均構成比が最も高いという理由でこの銘柄を買う海外投資ファンドは少なくないといわれ、株式分割で株価の絶対水準が低下すれば、ファンド勢の買いが入らなくなる恐れがある。

8位 いすゞ自動車(東1・7202/1000株)

トラック販売好調。海外生産移管を着々と実行

日野自動車と並ぶ国内トラック製造・販売の2強。大型トラックに強い。国内では復興需要に乗って販売台数を増やしているほか、東南アジアを中心に海外でも好調な販売が続いている。インドでも新工場の建設を予定しており、海外シフトによる生産・販売効率の改善に熱心だ。金融危機時にかなり厳しい人員削減を実施した経緯があり、販売台数の伸びが利益率アップに直結する筋肉質の経営で知られる。トヨタ自動車が5.8%保有の4位株主だが、出資比率引き上げの思惑も消えていない。日野自動車との統合説が出たこともある。

9位 コマツ(東1・6301/100株)

建設機械で世界2位。中国バブル崩壊は好機に

建設機械で世界2位、国内では1位の実力企業。復興需要に加え、政府による国土強靭化計画で、国内の需要は当面、高水準で推移しそうだ。株式市場では中国関連株の看板銘柄とみなされてきたため、中国の景気指標が悪化すると大量の売りに見舞われる傾向がある。ただ、実際には中国以外のアジアや新興国での売上高も大きく、イメージだけで売られやすい面がある。自動施工機種の投入で建機業界の勢力図を一変させる可能性があり、中国をキーワードに売り叩かれた場面は絶好の買い場になるかもしれない。

10位 三菱重工業(東1・7011/1000株)

総合重機の雄。為替が弱点だが、技術は超一流

三菱グループの中核企業で、総合重機のトップ。同業は川崎重工業やIHIだが、売り上げ規模や技術力、世界的な知名度などで、三菱重工業が大きくリードしている。発電設備や造船、機械、航空・宇宙など“大きくて重いもの”を手広くカバーし、再稼働申請のあった原子力発電所の原子炉はすべて三菱重工業が手がけたということだけで、国策企業としてのポジションがよくわかる。防衛関連株の色合いも濃く、朝鮮半島情勢の緊張化も株価の刺激材料に。唯一の弱点は為替。円高になると電機や自動車業界並みに収益が急速に悪化する。

11位 三菱地所(東1・8802/1000株)

オフィス賃料引き上げ開始。当面は好業績か

売上高では三井不動産に抜かれているが、株式の時価総額は国内不動産業界で最大。東京駅・丸の内側の周辺の超一等地は「三菱村」と呼ばれるほど多くのビルを持つ。量的金融緩和による不動産市況の回復や投資マネーの流入が事業の追い風になっている。優良物件のオフィス賃料はすでに値上げを実施しており、今後は貸し手優位の業界環境になっていきそうだ。マンション分譲も相続税の最高税率の引き上げや消費税アップを前に好調に推移。日銀は金融緩和を長期化する方針のため、同社も好業績が続くだろう。