最新作で催眠療法をテーマにしたダニー・ボイルが自身の記憶喪失体験を暴露/Photo by Shu Tomioka

写真拡大

盗まれた約40億円の名画を探すため、催眠療法によって失われた記憶を探る心理スリラー『トランス』(10月11日公開)。現実と妄想が交錯し、男女3人の関係も次第に入り乱れていく様子が鮮烈に描かれる。映画のタイトルにもなっている“トランス=催眠療法”について、監督やキャストに語ってもらった。

【写真を見る】「実は『スラムドッグ$ミリオネア』(08)でオスカーを獲った夜のことが記憶に無いんだ」と語るダニーボイル/Photo by Shu Tomioka

監督のダニー・ボイルは「イギリスでも厳しい規制が設けられているように、催眠療法は危険な力を持っている。でも、だからこそ深く興味を引かれたんだよ。そこから“催眠療法で人を操れるのか?”“その力を美しい女性に握らせたら?”とアイデアを膨らませていったんだ」と、斬新な設定が生まれた経緯を語る。

劇中、キーパーソンとなる催眠療法士を演じたロザリオ・ドーソンは、催眠術のクラスや心理学の本で学び、実際に何人かの催眠療法士に会ったという。「そこで分かったのは、人は見かけよりもずっと多くの事を語っているということ。例えば、言葉のアクセントを聞くだけで、その人の出身地や生まれた場所、どこで教育を受けたのかまで解ってしまう。潜在意識がどのように作用するかよく理解しているから、催眠療法士は問題を抱えた人の手助けができる」と分析する。

出演者のジェームズ・マカヴォイとヴァンサン・カッセルは実際に催眠療法を試しており、体験談をこう話す。「本当にかかってみたかったけど、うまくいかなかったんだ。もしかしたら、“さぁやるぞ”って、かかる気満々過ぎたのかも」(マカヴォイ)、「催眠術にかかりやすい人とそうでない人がいるし、適切な瞬間でないとうまく作用しないのかもしれない」(カッセル)と、残念ながら2人とも効果はなかったようだが、「ちょっとしたことがきっかけになるのは、映画の鑑賞体験とよく似ているな。時には登場人物の一言などに急所をつかれ、一気に物語に引き込まれてしまうからね」とカッセルは付け加えた。

一方、ダニー・ボイル監督は催眠療法を試してはいないらしい。「僕は自分でコントロール出来ない状況が耐えられないんだよ。映画監督にひとつ共通点があるとすれば、みなコントロール・フリークだってことだろうね(笑)。それに、みんなの前で何でも答えてしまうのではという恐怖心もある。例えは、ジェームズ・マカヴォイの役に本当は誰を使いたかったとか、そういうようなことは気まずいだろ?」と冗談交じりに話しながらも、もし催眠療法を受けるのならと尋ねると、「実は『スラムドッグ$ミリオネア』(08)でオスカーを獲った夜のことが記憶に無いんだ」と衝撃の事実を告白。「みんな忘れるはずないと思うだろうが、本当に思い出せない。だからもし、あの日を思い出せるのなら、喜んで催眠療法を受けてみたいかな」と、本編さながらの記憶喪失体験を暴露した。

また、Movie Walkerでは監督とキャストが催眠療法について語る特別映像を独占入手。無意識のうちに心掴まれてしまう“トランス”効果の危険な力を感じることができるだずだ。【Movie Walker】