厚生労働省の調査結果によれば、日本でうつ病などの精神疾患で、治療を受けている患者数は320万人。潜在的な患者数を含めると、生涯のうちに16人に1人がうつ病にかかるとも言われるほど、「うつ病」は身近な病気となっています。

「うつ病かもしれないと...」と感じた時、本当に頼りになる病院はどこなのでしょうか。病歴30年、自称"うつのプロ"が、東京23区の精神科に潜入取材したのが、書籍『行ってもイイ精神科、ダメな精神科』です。

著者のひろ新子さんは、新宿ゴールデン街でバー「新子」を経営するアングラ女優。かつては、俳優・田口トモロヲさんらと共に、伝説的なパンクバンド「ガガーリン」のメンバーでした。そんなひろさんは、40代の時に一念発起し、大学の心理学科へ入学。カウンセラーの資格や、国家資格の精神保健福祉士を取得し、精神科クリニックや精神科病院に勤務していました。そのような経歴を持ちながらも、「精神科というものを基本的に信用していない」と言います。

「素晴らしい先生にも出会いました。患者さんの身になって必死に治療に当たる先生にも出会いました。その反面、何なんだこいつ、と思う先生にも出会いました。製薬会社の営業の言いなりで、患者さんを新薬の人体実験の対象としか考えていないような医者にも出会いました」

60歳を超えた現在、「老人性うつ病」に苦しむひろさんは、東京都内に数百と存在する精神科・心療内科の中から、1区1軒を渡り歩きます。そして、実際に初診を受診しながら、その実態を報告しています。

"うつのプロ"を自称するだけあって、ひろさんのクリニック分析は実に多面的。自身の経験から、受付や待合室の雰囲気や診察料、初診の患者の話に時間をかけて耳を傾け、その辛さを受け止めてくれる先生かなどを分析。また、処方された精神安定剤、抗不安薬、抗うつ剤、睡眠薬が適切だったかどうか、きちんと副作用の説明があったかどうかなどを、体当たりでレポートします。

すべて同じ話をしたにも関わらず、診察した23の医師の反応は実に様々。カウンセリングを重視し、簡単に結論を出さない暖かく良心的なクリニックもあれば、「何も質問しないで唐突に診断を下す医師」「薬漬けにして患者を縛り付ける悪徳商法クリニック」などのトンデモ医師も登場します。診察の結果も6つの病気と障害にわたり、処方された薬は全部で21種類。海外での臨床実験の結果、有効性が確認されなかった抗うつ剤も処方されました。

果たして、ひろさんは、「行ってもイイ精神科」に出会うことが出来たのでしょうか。



『行ってもイイ精神科、ダメな精神科』
 著者:ひろ新子
 出版社:バジリコ
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