[其ノ二 FX 投資戦略編]ユーロ/ドルの売り 欧州債務不安が再燃!?ユーロ売りに備えろ
米国の出口戦略の行方に市場が目を奪われている隙に、欧州の債務不安の火種がジワリ…。油断は禁物だ!


9月22日のドイツの総選挙後にユーロ圏が荒れる!?

ユーロ/米ドル相場は、債務危機に端を発する景気低迷や政局混乱にもかかわらず堅調を保ってきました。その背景には、ユーロ圏の景気が水準的には低いながらも持ち直し傾向を示していることがあります。たとえば、景況感を示すPMI(購買担当者指数)は持続的な改善傾向を示しています。こうした中、ECB(欧州中央銀行)からの市場へのメッセージも、追加緩和を強くにおわせるようなものはなくなってきています。

ユーロ/米ドルは、日米10年債金利差との連動性が高い米ドル/円と異なり、欧米2年債金利差との連動性が非常に高くなっています。利下げ余地が残るユーロ圏では、政策金利に関する期待の変化で、2年程度の金利は比較的大きく動く一方、米国ではFF金利を2015年ごろまで据え置くという指針が浸透しています。金融政策変更に関する期待といえば資産購入プログラムの縮小いかんであり、これは主に10年程度の長期金利により強く影響を及ぼします。

もっとも、ユーロ圏では失業率は来年初めまで上昇を続ける見込みで、財政緊縮とそれを推進する政府に対する有権者の不満は高まるものとみられます。また、労働需給の悪化はインフレ圧力を低下させ、最近はあまり金融緩和に積極姿勢を示していないECBもデフレリスクを意識せねばならなくなるでしょう。

ドイツの総選挙後には同国憲法裁判所が、債務危機の重要な歯止め役となっているECBの債券買い切りプログラム(OMT)の合憲性について、最終判断を下す予定です。結果的に違憲となる可能性は低いですが、最終判断まで時間がかかったり、条件付きでのみ合憲とする場合には、OMTの威力が低下します。

そうなると、ギリシャ、ポルトガル、イタリアなどの財政悪化や政治危機に対して、落ち着いた反応を示してきた市場も態度を変えるリスクが高まってきます。かつてほどのサプライズはないためパニックとはならないでしょうが、ユーロは今年の秋に、またしても債務危機への懸念から売り圧力を受ける局面が来るリスクがあるでしょう。

10月のFX天下分け目スケジュール

1位 2日(水)ユーロ圏・ECB 金融政策決定
為替への影響:円高

2位 4日(金)米国・9月の雇用統計
為替への影響:円安

3位 30日(水)米国・第3四半期GDP(国内総生産)速報値
為替への影響:円安

4位 30日(水)米国・FOMC(連邦公開市場委員会)金融政策決定
為替への影響:円安

5位 1日(火)中国・9月の製造業PMI
為替への影響:円安

6位 1日(火)豪州・RBA(豪州準備銀行)金融政策決定
為替への影響:円安

7位 10日(木)豪州・第3四半期CPI(消費者物価指数)
為替への影響:円安

8位 31日(木)NZ・RBNZ(NZ 準備銀行準備銀行)金融政策決定
為替への影響:円高

9位 10日(木)英国・BOE(英国中央銀行)金融政策決定
為替への影響:円安

10位 31日(木)日本・日銀金融政策決定
為替への影響:円安

※上記スケジュールは予定で、変更になる場合があります。

一刀両断!10月の為替レンジ

米ドル/円
レンジ:95〜105円
トレンド:円安
現在地:99.1円

ユーロ/円
レンジ:123〜133円
トレンド:円高
現在地:131.3円

ユーロ/円
レンジ:123〜133円
トレンド:円高
現在地:131.3円

豪ドル/円
レンジ:86〜96円
トレンド:円安
現在地:90.9円

NZドル/円
レンジ:76〜84円
トレンド:円安
現在地:79.2円

英ポンド/円
レンジ:150〜160円
トレンド:円安
現在地:154.9円

英ポンド/円
レンジ:150〜160円
トレンド:円安
現在地:154.9円

南アランド/円
レンジ:9.0〜10.2円
トレンド:円高
現在地:9.8円

※現在値は2013年9月6日現在。

【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
FXストラテジスト

日本銀行で10年間、外為取引や調査に従事した後、RBS、バークレイズなどでチーフFXストラテジストを務め、2013年8月、外為市場調査を行なうプレビデンティア・ストラテジー設立。



この記事は「WEBネットマネー2013年11月号」に掲載されたものです。