鈴鹿でのトークショーを熱望する“伝説の元F1ドライバー”タキ・イノウエ氏が、「鈴鹿の見どころ」「来季ストーブリーグ」「マクラーレン・ホンダの動向」を大放談!

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いよいよ今週末に迫ったF1日本GP(グランプリ)(10月11〜13日三重・鈴鹿サーキット)!……が、「見どころ」がまったく見当たらない(泣)。

去年は小林可夢偉(かむい)の3位表彰台で盛り上がったけど、今年は日本人ドライバーもいないしなぁ。チャンピオン争いはレッドブルのセバスチャン・ベッテルが独走状態。第13戦のシンガポールGP終了時点で、2位のフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)との差が60ポイントもあって、もう決まったも同然だもん……。

と悩みつつ、何か面白いネタはないかとたどり着いたのは、今やマニアックなF1ファンの「聖地」となった感すらある、元F1ドライバーのタキ・イノウエこと井上隆智穂(たかちほ)氏のツイッターだ。昨年来、週プレ誌上にも何度か登場してもらい、ディープなF1裏情報を披露していただいたが、そのタキさんのツイッターを眺めていたら気になる書き込みを発見!

「小林可夢偉、F1日本グランプリに来場」というニュースに対して、「今年もトークショーに呼んでもらえなかった!(汗)。一度でいいからGPスクウェアの特設ステージでのトークショーに呼んでもらいたい。日本グランプリ開催25周年記念というのに、残念!」

なーんだタキさん、鈴鹿のトークショーに呼んでほしかったのか。……それなら鈴鹿に代わって週プレ誌上で「タキ・イノウエ、日本GP直前スペシャルトークショー」を開催しましょう! ということで、早速、タキさんの暮らすモナコに国際電話である。

■鈴鹿では「雨乞い」したほうがいい?

週プレ タキさん、お久しぶりです。今日はですね、日本GPのプレビュー的なモノをお願いします。何か見どころはありますか?

タキ うーん、チャンピオン争いはベッテルでほぼ決まり。日本GPもドライコンディションなら、予選でポールを取ったベッテルが2位以下をぶっちぎって終わりでしょう。シンガポールGPではベッテルだけほかのドライバーより一周2.5秒も速いんだから、もう完全に別世界です。そういう意味で「別世界のベッテルは初めから存在しないと思って観戦する」っていうのは、ひとつの手段ですかね。まぁこの場合、「見どころ」じゃなくて、「見ないどころ」になってしまいますが(汗)。

週プレ はぁ……。

タキ ただし、今シーズンのF1が退屈だったかというと、決してそんなことはありません。去年からF1にカムバックしたロータスのキミ・ライコネンの活躍は大きな見どころだったと思います。彼はもともと素晴らしいドライバーですが、カムバック後は持ち前の速さに「大人っぽさ」が加わって成熟し、今F1ドライバーとして最も脂の乗った状態です。

それはアロンソも同じで、フェラーリもロータスも、マシンの性能ではレッドブルにかないません。予選では6位以下とか下位に沈むことがあります。ところがこのふたりはレース本番で確実に上位へと這(は)い上がってくる。

今年はピレリタイヤがショボイので、予選でも決勝でもタイヤの性能を使い切るのが難しく、同じマシンに乗っていてもドライバーの実力差がハッキリと結果に表れやすい傾向にあります。アロンソとライコネンが、厳しい状況のなかでも確実に最大限のポイントを拾い続け、シーズン中盤までタイトル争いに食い込み続けることができたのは、まさに彼らの「円熟のドライビング」のなせる業です。

週プレ 来季はライコネンのフェラーリ移籍が決まり、そのふたりがチームメイトですから、こりゃ、ファンにはタマリマセンね!

タキ ええ。そんなワケで、鈴鹿でもトップを独走するベッテルを「見えない」ことにすれば、アロンソ、ライコネンのふたりの「大人っぽい」戦いぶりが最大の見どころといえるでしょう。また、雨になればこのふたりが優勝争いに絡む可能性もないわけじゃない。何しろ鈴鹿は今や世界屈指のドライバーズサーキットですから、雨ならさらにその傾向が強まり、両ドライバーの「いぶし銀」の魅力が雨に濡れてさらに輝きを増す可能性は大です。ファンの皆さんは雨乞いしたほうがいいんじゃないですかね?(汗)

週プレ ホラ、そんなコト言うから鈴鹿のトークショーに呼んでもらえないんですよ! ちなみに、今シーズンはレッドブル、フェラーリ、ロータスとともに、メルセデスの躍進も光りました。予選の速さはトップレベルだし、ニコ・ロズベルグは2勝、ルイス・ハミルトンは1勝を挙げています。

タキ メルセデスは事実上、今年が本当のスタートといっていいんじゃないでしょうか。躍進の最大の要因はノルベルト・ハウグ(メルセデスのモータースポーツ責任者だった人物)を開幕前にクビにしたことです。なんにもわかっていないのにいろいろと口を出すハウグがいなくなって、ようやくチーム代表のロス・ブラウンが働きやすい環境になったんでしょう。

週プレ ただ、そのブラウンには近々メルセデスから放出されるというウワサが絶えませんが……。

タキ あ、それは放出されるんじゃなくて、マクラーレンへの移籍ですよ。今年、マクラーレンのテクニカルディレクターがメルセデスに移籍しましたが、入れ替わりに来年からブラウンがマクラーレンに行って、2015年からのマクラーレン・ホンダに備えるらしいですよ。自分はもう契約済みだって聞きましたが……。

週プレ えええっ! R・ブラウンがマクラーレン・ホンダで契約済みですってぇ!

タキ いや、よく知らないけど、違うんですかね? ハミルトンも連れてマクラーレンに行くことが決まってるって話でしたけど

週プレ それ、ホントなら大スクープじゃないすかぁ!(激汗)

タキ いや、知りませんよ……自分はそう聞いてるだけで(汗汗)。

週プレ あと、来季に向けたストーブリーグの動向とかはどうなんでしょう? 小林可夢偉の復帰とかで何かウワサは?

タキ 残念ながら可夢偉は鈴鹿のトークショー出演以外、何も聞こえてきませんねぇ……。

来季のドライバーについては、フェラーリを押し出されたフェリペ・マッサの落ち着き先が決まらないと誰も動けないでしょう。ヴイタリー・ペトロフが50億円、ウィリアムズのパストール・マルドナドが60億円ぐらいの持参金とともに、いろんなチームに声をかけていると聞きますし、ルーベンス・バリチェロまでがF1復帰を狙っているらしいです。若手のドライバーはもちろん、中堅どころにとってもF1のシートを確保するのはますます難しくなっているというのが実感です。

あ、そういえば僕、日本人ドライバーがザウバーとリザーブドライバー契約を結んだという話は、もうしましたっけ?

週プレ ええええええええっ! なんすか、ソレ?

※この話の続きは、『週刊プレイボーイ42号』に掲載しています

●タキ・イノウエ(Taki Inoue)

元F1ドライバー。95年、F1フル参戦を果たす。引退後はモナコに住み、ドライバーのマネジメントなどを手がける。95年のハンガリーGPでの事故はF1史に残る“珍事”として語り継がれている。ツイッターは【@takiinoue】