[其ノ二 FX プロディーラーの視点!]IMM通貨先物ポジションの活用術
海外投資家の売買動向を知りたいなら「IMM通貨先物ポジション」を見るのが一番。実際の為替レートの動きと比べて検証すると、未来の相場を推理する手がかりになる!


IMMポジションと為替レートの連動性を再検証!

為替相場の行方を占う指標として、世界中の投資家に注目されているのが「IMM通貨先物ポジション」です。この指標は、米国シカゴ・マーカンタイル取引所で取引されている通貨先物ポジションの建て玉枚数を示したもの。なかでも「ノン・コマーシャル」と呼ばれる投機的ポジションは、「世界中の投資家がさまざまな通貨に対して、どんな売買戦略を立てているのか?」「投資家の売買によって、実際の為替レートが今後どのように動くか?」を推理する判断材料になっています。

下の図は8月中旬までの米ドル/円と豪ドル/米ドルの為替レートとポジション動向を示したもの。

たとえば、米ドル/円は為替レートが上昇すれば米ドルロング(買い)ポジション、下落すれば米ドルショート(売り)ポジションが増加し、基本的に世界の大口投資家は値動きに対して徹底した順張り戦略を採用していることがわかります。

ただ、米ドル/円では両者が逆行する動きも散見され、「円高になると円売り・ドル買い」という逆張り志向も垣間見えます。その背景には、今や日本円サイドの資金フローの中で無視できない存在となっている日本の個人投資家が大の逆張り好き、という事情もあるのでしょう。

それに対して、日本円が絡まない豪ドル/米ドルは、豪ドルの下落と連動して、一貫して順張りのショートポジションが積み上がっています。

このように、通貨ごとのIMMポジション残高と為替レートの値動きの関連性に着目すれば、今後の相場をある程度予想することも可能です。

長期的には、一方向にポジションが膨らみすぎると反対方向に動きやすい、という点を意識すると相場の反転ポイントを見つけやすくなります。膨らんだポジションが頭打ちになった瞬間は、そのポジションを保有している場合、利益確定の目安になります。

ただし、IMMのポジション残高と実際の為替レートのどちらが先に動くかは微妙です。図を見ると、米ドル/円ではIMMのポジションの増減よりも、為替レートのほうが若干早く動いており、相場先行型といえます。対して豪ドルは、投資家のポジション動向が実際の為替レートに先行して動きがち。



米国の金融緩和縮小→豪ドル安の流れが反転する日か

豪ドルの下落要素としては、中国経済の減速やRBA(豪州準備銀行)の利下げ継続などがありますが、それを先取りする形で投資家たちの売りポジションが拡大。それに追随する形で為替レートも下落している様子がわかります。

豪ドルの場合、これまで買われすぎた反動もあって、通貨の値動きを決めるファンダメンタルズ以上に、投資家の不安心理が先行している状況が読み取れます。

最近の為替相場では新興国からの資金流出が加速中。そうした事情が、新興国への資源輸出で潤ってきた豪ドルに対する投資家の先安観につながっているのでしょう。

とはいえ、直近の豪ドルのショートポジションは頭打ち状態。今後、ポジション調整で豪ドルの買い戻しが進む可能性も考えられます。そう考えると、今は豪ドル/円を打診買いしてみるチャンス到来といえるかもしれません。

この秋の為替市場の最大の関心事といえば、米国のFRB(連邦制度準備理事会)が量的金融緩和からの出口戦略にいつ着手するか。米国の金融緩和縮小を控え、現在の為替相場には不透明感が漂っています。こんなときこそ、IMM通貨先物ポジションに注目し、投資家のポジション動向から今後の相場展開を占ってみるべきでしょう。



【今月のカリスマ軍師】
上田眞理人(MARITO UEDA)
FXプライム 取締役

東京銀行、モルガン銀行、ドレスナー銀行などで為替ディーラーや外国為替部長を歴任後、現職。



この記事は「WEBネットマネー2013年11月号」に掲載されたものです。