[其ノ一 株ファンダ編]北米に強い輸出株に投資すべき本当の理由
アベノミクス関連であり、円安メリット株であり…とさまざまな理由で買われ続けてきた輸出株ですが、さらなる「買い」の理由があるのです。


「消費増税+法人減税」がポジティブに働く業種の、大型株を狙う

来年4月からの消費増税が確定的な中、そのマイナスの影響を何とか抑えるため、法人税率の引き下げが検討されています。消費増税というと、株式市場では「駆け込み需要」が発生する業種が注目です。不動産やリフォーム、家電量販店といったところ。ただし、これは増税前に発生する特需の話で、それが強ければ強いほど増税後の反動減は大きくなるのです。結局は中立材料、長い目で見れば需要は低下するわけで、実は消費増税はネガティブ材料。

では、消費増税が本当の意味でポジティブに働く業種はないのかといえば、あります。それは輸出関連の大企業。

消費税は国内での取引にかかるものです。たとえば自動車メーカー。自動車をつくるための部品を子会社から購入するときに消費税を払い、完成した車を日本で売ったときは消費税を納めます。

しかし、輸出企業の多くは海外での売上高比率が大半を占めます。この海外での売り上げ分に消費税はかかりません。一方で、海外で販売した車の部品購入時には消費税を払っていますよね。この分の消費税が数百億〜数千億円規模で還付されます。消費税が増税されれば還付金が莫大に増えるため、消費増税は相当な輸出企業優遇策なのです。

それでいて、法人税率の引き下げまで検討とは、ますます大企業、特に利益の大きい企業に有利。前述の消費増税のメリットを加味すれば、?トヨタ自動車みたいな会社〞が有利な投資先になることがわかります。法人税率引き下げは、株式市場で好まれる成長戦略です。同じ利益を稼いでも、株主に配分できる原資が増えます。配当性向の高い会社は狙い目になります。法人税率が下がればEPS(1株当たり利益)が増えるので、日本全体のPER(株価収益率)が若干低下するという株高材料も生じます。

結論は「消費増税+法人税率引き下げ」の組み合わせで、黒字で、海外売上高比率が高い輸出企業にメリット大、ということになります。

さらに絞るのであれば、輸出企業の好決算のキーワードは「北米」!

最近の輸出企業の勝ち組の共通点は、北米での高シェア企業。典型例としてはタイヤ大手でしょう。北米に強いブリヂストンが1〜6月期で最高益を更新したのに対し、北米に弱い住友ゴム工業は最終減益。自動車は、国内はエコカー補助金の反動があり、欧州は景気が悪いので、需要が強いのは北米だけといった構図です。実際、ブリヂストンの北米での営業利益は前年同期比で5割も増加しました。決算発表後に「ブリヂストン買い・住友ゴム売り」といったロング・ショート戦略が強まった形跡も。

決算後のパフォーマンスは、どちらかを買い、どちらかを売るというロング・ショート戦略が業種によっては炸裂することも覚えておきましょう。



海外、特に北米での売上高比率が高い5銘柄

タカタ(東1・7312)
2420円(100株)
海外売上高比率は80%を超える。1ドル= 90円の想定レートのままでの大幅な上方修正はお見事!

任天堂(東1・7974)
1万860円(100株)
海外売上高が全体の約3分の2。株主還元には定評があり、今期の営業黒字ができれば買い妙味は膨らむ。

テイ・エス・テック(東1・7313)
3785円(100株)
第1四半期の営業利益は前期比82%増! 自動車の需要が旺盛な北米での売上高比率は5割近い高水準。

コマツ(東1・6301)
2282円(100株)
鉱山機械の需要も足元で底入れの兆し。海外売上高比率が約8割と高いが、なかでも北米は約3割を占める。

富士重工業(東1・7270)
2542円(1000株)
トップラインの売上げが強く伸びるほか、円安効果も追い風に過去最高益へ。北米売上比率が4割強と高い。

※株価は2013年9月9日現在。富士重工業は10月1日より100株単位に変更。



【今月のファンダ師匠】
岡村友哉(YUYA OKAMURA)
金融ジャーナリスト

証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCでキャスターをこなす。



この記事は「WEBネットマネー2013年11月号」に掲載されたものです。