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アンドロイドには、通常直径3.5ミリのミニプラグを使ったヘッドセット端子が備わっています。「ヘッドセット」とはヘッドホンとマイクを組み合わせたもので、過去には、モノラルのものが多かったのですが、最近では、ステレオヘッドホンとの組み合わせがほとんどで、原則ステレオヘッドホンとして利用できるものになっています。また、ケーブルの途中にマイクを格納した小さなプラスティック部品があり、最近のものでは、ここにスイッチが組み込まれていることがほとんどです。ヘッドセット端子といいますが、多くの場合、ここにステレオヘッドホンを装着して使うことが多いかもしれません。

ミニプラグを使うヘッドホンは、携帯型のカセットプレーヤーの発展とともに普及しました。それまで、ステレオヘッドホンの標準は、標準プラグと呼ばれる直径6.3ミリの「フォーンプラグ」が使われていて、これをステレオ用に1つにしたのがTRSと呼ばれるタイプです。ちなみに6.3ミリは、1/4インチのことです。フォーンプラグという名前になっていたのは、もともとは1800年代に手動の電話交換機用として作られたプラグです。当時は加入者も少なかったため、電話交換手が相手先を聞いて、このフォーンプラグで回線を接続していました。抜き差しの頻度が高く、それに耐えうるコネクタとして作られました。その後、オーディオ用に使われ、ヘッドホンの標準的なプラグとなるときに、ステレオに対応するため、3極のものが採用されました。これをTRSプラグ(TRSフォーンプラグ)と呼びます。TRSとは、先端部分をTip、中間の部分をRing、そして根本の部分をSleeve(スリーブ)と呼ぶことから来た名称です。これに対して2極のフォーンプラグをTSフォーンプラグということもあります。

ところが携帯用カセットプレーヤーで本体が小さくなるとこの6.3ミリのフォーンプラグでは大きすぎるため、ミニプラグが採用されました。このとき、TRSと同じような構造が使われました(図01)。1つには、アダプタを使って、標準プラグのヘッドホンを利用できるようにとの配慮です。いまでは、ミニプラグのステレオヘッドホンが一般的ですが、かつては、標準プラグのヘッドホンのほうが一般的であったため、初期の携帯用カセットプレーヤーには、先端がミニプラグになった専用ヘッドホンが付属しているのが普通でした。その意味で、ミニプラグはあくまでも小さな機器向けのもので、正式には標準プラグという発想があったため、かつては、単体売りされるミニプラグのヘッドホンには、標準プラグ用のアダプタが付属していることが少なくありませんでした。

ヘッドセットも、もともとは電話交換手が加入者と話したり、作業しながら通話するために作られた機器です。かつて日本では、「イヤホンマイク」と呼ばれていました。2Gでは、小型化に対応するため2.5ミリの超小型プラグ(写真01)が使われたり、2重になったプラグを使うなど、事業者ごとに違いも出てきました。その後、3Gでは、国内で俗に平形コネクタと呼ばれるタイプが普及します。これは、正式には「携帯電話角形コネクタ」といい、JEITA RC-5240という規格になっています。ヘッドセットとヘッドホンの区別やステレオ対応するものでしたが、10ピンとピン数が多く、機構も複雑になってしまいました。海外でも、メーカーにより特殊なものを採用することは少なくありませんでした。

メーカーごとに違うのは問題もあるために、米国やEUでも規格化が行われました。このとき、既存のステレオヘッドホンがそのまま使えるように、形状をミニプラグとして4極のものを採用します。ところが、アメリカとEU圏では、端子の定義に違いがありました(図02)。どちらもステレオヘッドホンを接続すると普通に使えるのですが、ヘッドセットの場合、正しく音を拾えないことがありました。

米国で規格を決めたのはCTIAという団体です。この団体は、1984年にCellular Telecommunications Industry Association(CTIA)として発足しましたが、Wireless Data Forumと一緒になるときに「Cellular Telecommunications & Internet Association」となり、現在では、略称ではなく「CTIA - The Wireless Association」となっています。

これに対してOMTP(Open Mobile Terminal Platform)は、携帯電話事業者がおもに携帯電話のハードウェア使用などを共通化するために2004年に設立された団体で、AT&T、Deutsche Telekom AG、KT、Orange、Smart Communications、Telecom Italia、Telefonica、Telenor、Vodafoneなどが参加しており、メーカーとしては、Ericsson(後にSony Ericsson)やNokiaも参加していました。マイクロUSBを電源コネクタとして利用する仕様などの活動を行ったあと、他の団体に統合され、現在では、GSMA(GSM Association)がその活動を引き継いだようです。

スマートフォンが普及し始めるまで、このCTIAとOMTPの仕様の違いは、あまり問題になっていませんでした。3.5ミリのヘッドセットを使う携帯電話が少数派だったことと、メーカーは仕向地により仕様を変えていたので、たとえEU圏の企業でも米国で販売する携帯電話ではCTIA仕様か自社の独自コネクタを使っていたからです。

ところが、iPhoneが登場すると、問題が表面化します。OMTPが使われているEU圏でも、CTIA仕様のiPhoneが販売され、ユーザーが手元にあったOMTPヘッドホンを使うことになったからです。また、EU圏で作られたアンドロイドには、OMTP仕様のものもあるようです。

○アンドロイドのヘッドセット

アンドロイドでは、標準的にCTIA方式のコネクタを使います。しかし、Nexus oenからGalaxy Nexusまでは、通常のボタンが1つしかないヘッドセットに加えて、ボタンが3つあるヘッドセットが利用可能でした(写真02)。

ヘッドセットは、途中の小さなプラスティック部品にマイクが入れてあります。ここにスイッチがあり、これを使うことで着信や、音楽再生の制御ができます。1ボタンのものでは、

となっていますが、3ボタンのものは、前トラック、次トラックが別々のボタンとして割り当ててあります。ただし、筆者は、Nexus oneに付属してきたもの以外はみたことがなく、他機種(たとえばApple社のもの)の3ボタン方式とは違っていて、市販もされていないようです。

1ボタン方式は、一時的にGNDとマイク端子を短絡させるものですが、3ボタン方式はこのときに、抵抗値の違う2つの抵抗をGND、マイク端子間に入れるような回路になっています。本体側でGND、マイク端子間の抵抗を測定して、ボタンの状態を検出しているようです。

本稿は、2013年10月4日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。

(塩田紳二)