10月2日に、3年ぶりの新作が放送されたバラエティ番組「水曜どうでしょう」(北海道テレビ)。深夜11時台の放送にもかかわらず、北海道地区では視聴率16.1%を記録し、人気の健在ぶりを印象づけました。

番組のチーフディレクター・藤村忠寿氏と、ディレクター兼カメラマン・嬉野雅道氏が、同番組で見られる「大泉マジック」について、書籍『腹を割って話した』で語っています。

大泉洋の「大泉マジック」とは、一体どのようなものでしょう。

一つの例として挙げられるのが、同番組のロケでのエピソード。カメラをまわしていた嬉野氏は、新作の撮影にあたってカメラを新調しようしたところ、驚くほど手ブレをしなくて、コンパクトなカメラを発見。「もうこれしかない!」という思いで即2台購入し、現場へ向かいます。

撮影も順調かと思われていましたが、なんと撮影中に全くズームができないことが発覚。つまり、そのカメラには望遠機能がついていなかったのです。

「そりゃあズームすると思ってたよ。だって今回ばかりは、ちゃんと望遠ズームで捕らえなきゃいけないものを撮影対象として、われわれはロケに行ったわけですからね。でもいくら寄ったところで、なんだかもう中途半端なサイズになるばかりで。」(嬉野氏)

明るみになったカメラマンの準備不足。満を持して臨むヨーロッパロケにも関わらず、望遠機能のないカメラでロケをせざるを得なくなった一同。そんな状態にも関わらず、撮影現場では大泉洋が「ここまで来て、おまえは何を撮りに来たんだ」などと、その"失策"を果敢に突いてきたそうです。そして、この大泉洋のツッコミが、現場で笑いへと変わっていきます。

「でも、ほんとにね、大泉洋が本番中にいやらしいくらいおれのカメラのあらを突いたことで、おれの準備不足が一転して物語に組み込まれていくのね。そしたらおれは、"満を持してやって来たはずの大事な現場で、使い物にならないカメラを持って来たカメラマン"っていう登場人物になっていて(笑)。で、カメラが寄らなきゃならない状況になるたんびに、おれの準備不足が笑うべき物語のひとつとなって、浮上することになるんだよね。あれはさあ、大泉洋の仕事だよね、大泉マジック」(嬉野氏)

撮影中の「失敗」も「物語」に変えてしまう大泉洋。その実力を認めているスタッフたちも、失敗を認めつつも、あえて"失敗ではないと言い張る"ことで、笑いを生んでいきます。

強い信頼関係で結ばれた『水どう』制作陣。新作ではどのような物語が誕生するのでしょうか。



『腹を割って話した(未知との遭遇)』
 著者:藤村忠寿,嬉野雅道
 出版社:イースト・プレス
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