ロックバンド『スキップカウズ』のボーカルとして20年以上活躍する今泉泰幸さん。前編では、読書好きになったきっかけをお話いただきました。後編では、好きな本について更に語っていただきます!

心霊写真、古本屋、アルコール中毒――シビれます

――怪談ものがお好きだとか?

僕は中岡俊哉先生の心霊写真が学級文庫にあった時代の人間ですから、それを見てオカルトに興味を持ちました。だんだん成長していろいろモノがわかってきて「ゾクッとさせるっていいなっ」て思って。そういうのが好きなんですよね。なかなかないんですけど、作家さんの書く自分の体験みたいなのが一番好きです。例えば遠藤周作さんが昔書いた『怪奇小説集』っていうのがあって、あれはシビれましたね。遠藤さんが本当に体験した、不思議なことみたいなのを書いていて。あの時代の人たちの、フィクションかノンフィクションか分からない感じがたまらなく好きです。多少、創作入ったっていいんですよ。話って盛ったほうが面白いんだから。だけどちょっと自分のエッセンスが入っていて、みたいな感じのものがすごく好きだったなぁ。

――ブログを拝見すると、古本屋巡りもされていますね?

普通にぶらぶら見ているだけでも楽しいですね。5時間ぐらいいれます。あと、すごくいいと言われているのになかなか売ってなかったりする本とか、そういうのを見つけた時に嬉しい。『湯殿山麓呪い村』で有名な山村正夫さんというミステリー作家の『断頭台』っていう、当時の角川文庫から出た短編集があるんですよ。これをずっと探していて、見つけたときはほんとにガッツポーズするぐらいの嬉しさでしたね。

――最近古本屋で買った本は何ですか?

最近は麻耶雄嵩さんの『隻眼の少女』っていう本。アンチミステリーって言われているんですけど、発想がぶっとんでいて。本格ミステリ大賞を獲って、日本推理作家協会賞も獲ったっていうダブル受賞した本ですね。

――ブックガイドも好きでよく読むそうですが、そうするとまた買いたい本がどんどん増えていきません?

そう。キリがないんですよ(笑)。いい加減にしないとなって思っているんですけど。でもほかに道楽あんまりないので。僕、物欲がないんです、最新の何かが欲しいとか。だから、それが唯一の趣味かなっていう。ま、本屋に行く、本を買う、で、酒飲むとか、それぐらいしか趣味がないので。まあいいかなと。

――最後に、バンドを20年以上続けてきて、これまでに励まされた本や影響された本を教えてください。

その都度ありますね。最近読んだ本だと、映画監督の三池崇史さんが書いた『監督中毒』。自分たちは請け負い仕事をやっているんだと。芸術をつくるというよりもとりあえずその場にあるものを面白くする、そして監督が撮りたいものを自分がいかに実行するかってことを助監督のスタイルとして書いていて。監督を請け負う時も、ポリシーがないっていうんですよ。自分はこれを撮りたいとか、そういうのはないと。だけど、撮ってくれって依頼を受けたからにはそれを精一杯面白くすると。だから、自分を「職業:監督」だって言うの。芸術家ぶらないんですよ。それすげえなって。あと、中島らもさんの『今夜、すべてのバーで』。アル中について書いてあって、読んだら自分もアル中に憧れるようになっちゃって。アル中の人の本ばっかり読んでいた時期があった(笑)。

――バーチャルアル中みたいな(笑)。

本当にそう。「かっこいい!」って言ってアル中の本ばっかり読んで(笑)。文学者や作家とかもそうですよ、織田作之助がアル中だったよなとか、そういう理由でその人の小説を読んだり。アル中、面白いですよ。突拍子なくて。


≪プロフィール≫
今泉 泰幸(いまいずみ やすゆき)
1971年7月12日生まれ。千葉県出身。1990年にロックバンド「スキップカウズ」にボーカルとして加入。20年以上活動中。ニックネームは「イマヤス」。現在bayfmのON8にてイントロDJ、MOZAIKU NIGHT〜No.1 Music Factory〜の火曜日メインパーソナリティ、青森放送の土曜ワラッターの3本にレギュラー出演中。



『腹を割って話した(未知との遭遇)』
 著者:藤村忠寿,嬉野雅道
 出版社:イースト・プレス
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