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ドワンゴは10月3日、「niconico」の「ニコニコチャンネル」にて一般ユーザー向け専用プラットフォーム「ユーザーチャンネル」の第一弾公募を開始した。

「ユーザーチャンネル」とは、現在企業や著名人のみが開設できる「ニコニコチャンネル」を、一般ユーザーに提供したもの。これにより、チャンネルを開設したユーザーは自身のチャンネル会員から直接報酬を得ることが可能になる。

ドワンゴは本機能をクリエイターの創作活動支援の一環として位置づけており、クリエイターのさらなる創作活動活性化を図るとしている。今回実施するβ期間では応募条件を満たすユーザーから15名を選定しチャンネルを開設。今後は2014年2月に第二弾の参加者募集を行い、2014年中には100名の参加を目指すという。

記者発表会に登壇したニワンゴ社長・杉本誠司氏はまず、ニコニコ動画の現状とこれまでの歩みを振り返り、ユーザーチャンネルをスタートするに至った経緯を説明した。

杉本氏によると、「ニコニコには当初からユーザー同士が支えあう文化がある」という。あるユーザーが動画を投稿すると、これを視聴した別のユーザーがコメントで評価し、それが次の創作意欲につながっていくというサイクルである。ユーザー同士が生み出したこのサイクルを維持するために、niconico運営サイドは「クリエイター創作活動の支援」と「ネット課金の慣習化」に取り組んできた。

「クリエイター創作活動の支援」の具体的な取り組みとしては、例えば2008年4月に行った「JASRAC包括契約」や、同年8月にスタートした「ニコニ・コモンズ」、2011年12月に始まった「クリエイター奨励プログラム」などが挙げられる。特に動画の再生数などに応じて製作者にドワンゴから報酬が支払われる「クリエイター奨励プログラム」は、それまで直接的には行われていなかった報酬制度ということで注目を集めていた。

一方で、インターネット上の創作物に対価を支払うことに慣れていない一般ユーザーへの働きかけとして、「ネット課金の慣習化」にも取り組んできた。例えば、月額500円のプレミアム会員や、ユーザーが動画を宣伝できる「ニコニ広告」、あるいはニコニコ生放送を視聴するためのネットチケット販売などだ。これには、「たとえ少額でもネット上のコンテンツにお金を払ってもらうことで、ネット課金に対するユーザーのハードルを下げる」という狙いがある。

こうした取り組みを通じてドワンゴが目標にしてきたのは、niconico内できちんとした経済サイクルを成立させることだ。ユーザーが価値に対して対価を支払うという流れをniconico内で生み出すことが、クリエイターの創作活動の支援につながると杉本氏は述べる。

その結果、クリエイター奨励プログラムで現在までにユーザーに支払われた金額は5億9,355万7,255円、うち7名のユーザーが1千万円以上を獲得するなど、クリエイターへの還元は順調に進んでいるという。この流れをさらに推し進めるのが、今回の「ユーザーチャンネル」というわけだ。

現在、niconico内には、法人・団体の公式プラットフォームとして提供している「ニコニコチャンネル」というサービスがある。2008年にスタートし、現在は約3,500チャンネルが開設。チャンネル内では動画・生放送・ブロマガなどさまざまなコンテンツをユーザーに向けて発信することができる。ニコニコチャンネル内のコンテンツは月額課金や都度課金にも対応しているのが特徴だ。

今回新たに始まる「ユーザーチャンネル」では、この「ニコニコチャンネル」の機能が一般ユーザーに提供される。ニコニコチャンネルを開設したユーザーは、これまで「ニコニコミュニティ」で行っていた動画と生放送の投稿と、「ニコニコチャンネル」で行っていたブロマガの両方を「ユーザーチャンネル」に統合することになる。

ユーザーチャンネルでは、これまでニコニコチャンネルで法人・団体に提供されていた機能がすべて同じように使えるようになる。月額課金や都度課金も選ぶことができ、課金金額もユーザーが設定できる。金額は自由に設定できるが、ドワンゴとしては決済手段がそろっているという理由から105円〜1575円という価格を推奨しているという。また、決済手数料としては、これまでのニコニコチャンネルと同様、3割をドワンゴが徴収する。

このユーザーチャンネルはいきなり誰でもが開設できるわけではない。まずはβ期間として、10月3日から31日までチャンネル参加者を公募し、11月中旬に一次通過者を発表。その後、15名まで絞り込んで、12月に開始を予定している。

応募資格は「お気に入り登録」、または「コミュニティ参加者」が1万人以上いること。ただし、1万人以下でも企画書を送付して応募が可能なチャレンジ枠を設ける。1万人という数字は長く活動していないとなかなか達成できない数字なので、最近投稿を始めたユーザのために用意されたものだという。

また、懸念されるのが著作権の問題だ。ニコニコ動画の中には権利的にグレーな動画が多く、それらは無報酬ということで黙認されているケースがほとんどである。これについては、「そういった応募者はそもそも審査に通らない」と杉本氏は回答しており、これまで通りの基準で対応していくという。

また、チャンネル開設以降に活動をやめてしまったにもかかわらず課金で報酬を得ているユーザーに対しては、「最低でも一カ月に一度は情報の更新を行うよう義務付けていく」といい、定期的な活動を提供できない状況になった場合は警告を行うという。さらに、更新が止まってしまった場合はチャンネル閉鎖の可能性もある。

ニコニコ動画ではクオリティの高い動画に「振り込めない詐欺」というタグがつけられることがあるが、ユーザーチャンネルのスタートで本当に「振り込める」ようになったというわけだ。

今後は2014年2月に第二弾募集を行って15名前後を追加。さらに、2014年中に100名の参加(100チャンネルの開設)を目指すという。

(山田井ユウキ)