前回、モナコの富裕層について書いたが、それに関連して、欧米諸国や日本のようなゆたかな国では、ビリオネア(資産1000億円)は無理でもミリオネア(資産1億円)になるのはそれほど難しくない、という話を紹介しておきたい。

参考:モナコの花火大会にクルーザーで集うお金持ちは二流!?

 なおこれは、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』の「あとがき」の一部を加筆・訂正したものです。

億万長者になるのは簡単だ!

 いまから10年ほど前に私は、金儲けについてはじめて真剣に考えた。そして、「億万長者になるなんて簡単だ」と気がついた。

 アメリカには面白い研究をしている学者がたくさんいるが、元ニューヨーク州立大学教授のトマス・スタンリーもそのひとりで、1973年に友人のウィリアム・ダンコとともにアメリカ全土の億万長者を対象とした大規模調査を実施し、その本がミリオンセラーとなって自らも億万長者の仲間入りをした(『となりの億万長者 成功を生む7つの法則』)。

 スタンリーはこの本のなかで、「期待資産額」という指標を紹介している。これは、自分が金持ちかどうかを知るための魔法の方程式だ。とてもシンプルで、だれでも一瞬で計算できる。

 期待資産額=年齢×年収/10

 あなたの純資産(金融資産や不動産資産の時価総額から住宅ローンなどの負債を引いたもの)が期待資産額を上回っているならば、あなたは金持ち(蓄財優等生)だ。逆に期待資産額を下回っていれば、どれほど収入が多くても貧乏人(蓄財劣等生)だ。

 たとえば、あなたが40歳で年収600万円とすると、期待資産額は2400万円になる(40歳×600万円/10)。55歳で年収1000万円なら5500万円だ(55歳×1000万円/10)。こうしてみると、蓄財優等生のハードルがかなり高いことがわかるだろう(私もサラリーマンだったことがあるが、明らかに劣等生だった)。

 スタンリーの方程式は、アメリカの典型的な億万長者が、ニューヨークのペントハウスではなく、労働者階級の暮らす下町のありふれた家に住んでいるという発見に基づいている。億万長者は、六本木ヒルズではなく、あなたの隣にいる。なぜなら、お金を使えば資産は貯まらないからだ。

 スタンリーの本には、3000万円を超える年収を得ながら、本人と家族の浪費癖のためにほとんど貯蓄がなく、将来の不安にさいなまれている医師が登場する。その一方で、公立学校の教師として働きながら五十代でミリオネアの仲間入りをし、退職後の優雅な生活が約束されている夫婦もいる。資産とは、収入の多寡によって決まるのではなく、収入と支出の差額から生み出されるものなのだ。

 スタンリーが描くアメリカの金持ちは、とても質素だ。彼らは安物のスーツを着て、頑丈だが燃費のいい車を乗りつぶし、周囲はだれも彼らが億万長者とは気づかない。収入の10〜15%を貯蓄に回す倹約をつづけていれば、誰でも彼らのような億万長者になれるとスタンリーはいう(正確には「平均年収の倍の収入」を得ることが条件になるが、これは夫婦ふたりで働けば達成できる)。

 日本では、平均的なサラリーマンが生涯に得る収入は3億〜4億円と言われている。共働き夫婦の生涯収入を総額6億円として、そのうち15%を貯蓄すれば、それだけで9000万円だ。仮に貯蓄率を10%(6000万円)としても、それを年率3%程度で運用できれば、やはり退職時の資産は1億円を超えているはずだ。

 スタンリーの調査によれば、アメリカの支配層と考えられてきたWASP(白人・アングロサクソン・プロテスタント)は絶対数ではもっとも億万長者の数が多いが、人口比では4位まで順位が下がる。人種別に見たミリオネア率の上位はロシア、スコットランド、ハンガリーからの移住者で、その多くは第一世代だった。これは社会の底辺にいる、差別されているひとのほうが億万長者になる確率が高いことを示唆している。金持ちの家に生まれたお坊ちゃん、お嬢ちゃんは遺産を食い潰すだけだが、野心のある虐げられた人々はそこから這い上がるために倹約するのだ。

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