10月2日の夜、伊勢神宮内宮にて、式年遷宮の「遷御」が行われました。ご神体「八咫の鏡」が、新しい正殿に移され、20年に一度行われる「神様の引っ越し」が無事に終了。次は、5日に外宮にて遷御の儀が行われます。

今年、何かと話題の伊勢神宮について「自分の内側へと向かわせる空気に満ちている場所」と語るのは『スラムダンク』『バガボンド』などの作者・井上雄彦氏。井上氏にとって、伊勢は特別な場所。「内側にいろんなものがくっついてふたをされたような感じがする時、伊勢に旅したくなります」と、制作の合間に足を運ぶこともあるそうです。

その井上氏が描いた絵が、今回の式年遷宮に合わせて神宮に奉納されることになりました。

きっかけは、伊勢神宮式年遷宮広報本部からの打診。伊勢神宮に特別な思いを寄せる井上氏はもちろん快諾し、制作に取り掛かりました。とはいえ、まったくの白紙の状態から始まった企画。井上氏は、まず"絵を奉納する"ことの意味から考え始めたそうです。

「62回目の『式年遷宮』に合わせて奉納する絵である。自然や歴史、先人たちから承ったことを、次世代に伝え継ぐことのできる絵にしなければならない」という考えから、1000年以上もつとも言われる和紙に、墨で絵をしたためることにしました。

和紙といっても種類は様々。筆の走り方や墨のにじみ具合は紙によって異なります。サンプルとして出された20種類の中から井上氏が選んだのは、雁皮100%の手漉きの"鳥の子紙"。井上氏は知らなかったそうですが、実はこの和紙が最も値が張る紙でした。

墨絵は、幅約180cm×高さ約22cmの長尺の和紙に描くことに。長尺墨絵ということで、井上氏は初めて転写に挑みました。まず、洋紙に描いた下描きの上に、トレーシングペーパーをのせて、下描きをなぞり、トレペの裏に鉛筆の粉をまぶします。そして、それを和紙の上に重ね、再度トレペをなぞって、和紙に下描きを転写します。和紙に下絵を描くまでに、同じ絵を3度描いたことになるのです。「奉納する絵なので仕上がりをきれいにしたかった」とは井上氏(書籍『承』より)。

完成した墨絵「承」は、神宮内宮参集殿で観賞することができます(10月19日〜11月4日)。井上氏による渾身の墨絵に圧倒される人も、いるかもしれません。



『承 井上雄彦 pepita2』
 著者:井上雄彦
 出版社:日経BP社
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