2020年の東京五輪・パラリンピックの開催が決まった。19年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会と合わせ、日本ラグビー界にとってはビッグステージが続くことになる。

 これは大きな転機だ。では、どんな選手が世界に羽ばたくのか。今の大学ラグビーには、その『五輪&W杯候補』がうごめいている。

「単純に代表チームが五輪で活躍することで、ラグビーを目にしていただく機会が爆発的に増えるわけです」と、日本ラグビー協会の岩渕健輔・日本代表ゼネラルマネジャー(GM)は期待する。

「今の大学生は『ゴールデン世代』と言っていいでしょう。高校時代の力を見れば、いずれ日本代表の中心にならないといけないと思います。でも重要なのは、将来、世界で通用する選手が何人出るか、ですね」

 6年後の19年W杯、7年後の20年東京五輪をにらめば、世界で通用する何かを持っていないといけない。当然フィジカル的に強くならないといけないが、日本人選手にとっては、スピードと判断力が大きなポイントとなるだろう。

 9月29日の秩父宮ラグビー場。対抗戦グループでは、早稲田大がロスタイムの劇的な決勝ペナルティゴール(PG)により、20−17で筑波大を下した。五輪&W杯への可能性を秘めた選手として名前があがるのは、まずは筑波大のエースWTB福岡堅樹か。176cm、84kgの2年生。すでに日本代表。ボールを持てば、スタンドがざわめく。

 この日は、気負いからか、信じられないようなノックオン、ハンドリングミスを犯した。「ちょっと落ちつけてなかったかな......。高いレベルを経験させてもらっているので、精神的にもプレイの面でもチームを引っ張っていかないといけない立場なのに......」と反省する。

 確かにスピードは文句なしだ。足腰も強い。スペースのある場面でボールをもらえれば、大幅ゲインをやってのける。この日も1トライ。だが、もうひとつ決定力に欠けた。相手が強くなれば、当然マークはきつくなる。世界レベルを目指すなら、ボールが来ないときでもどう勝利に貢献するか、である。

 ただ、福岡本人はそのことを分かっている。「そうなんです。もっとボールに絡む工夫をしないといけない。もっと積極的にブラインドからでもアタックに参加しないといけない」と言い、こう続けた。「東京五輪は是非、出たい。そういう気持ちが強くなってきています」。

 筑波大バックスは才能ある選手の宝庫である。ほろ苦いデビュー戦となった1年生SOの山沢拓也(176cm、86kg)は体の強さとヒラメキがある。この日は序盤のミスでプレイがやや消極的になった。

 4年生のSH内田啓介(179cm、86kg)はサイズだけでなく、パスの長さ、キックが魅力。ただもっと前を見て、自分でボールを持って相手にプレッシャーをかけられるようになれば、もっといい選手になるだろう。

 早大では、やはり3年生の布巻峻介(178cm、94kg)に目がいく。今季はCTBからフランカーに転向した。タックルはいいし、下のボールに強い。なんと言っても、ラグビーをよく理解している。19年W杯と20年東京五輪の話題を振れば、「もちろん、そこが目標です」と言い切った。

 今、日本代表には絶対的な存在のオープンサイド・フランカーがいない。布巻がジョージ・スミス(サントリー=元豪州代表)のように接点プレイに強くなれば、日本代表のW杯での躍進、そして東京五輪出場と夢が膨らむのである。

 早大の有望株といえば、現在ニュージーランドへ留学中の2年生WTB、藤田慶和(184cm、86kg)がいる。彼とて今が分岐点。どこまでレベルアップしていけるか。もう一皮むけないといけない。

 ほかにも、拓殖大1年生の右プロップ具智元(ぐ・じうん)、帝京大4年生のSO中村亮土(りょうと)、2年生フッカー坂手淳史、1年生バックスの松田力也と重一生(しげ・いっせい)......。大学に進学せずに南アフリカで奮闘中の松島幸太朗(桐蔭学園高卒)も忘れてはいけない。探せば、世界に通用しそうな可能性を秘める選手がわんさといる。

 もちろん大学レベルでなら、誰が見ても抜群の存在でなければ、世界に通用する選手には育たないだろう。将来性を見ながら、大学ラグビーを観るのも面白いのである。

松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu