来季のPGAツアーカードを手にした選手たち、もちろん石川の姿も(Photo by Michael Cohen/Getty Images)

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 ウエブドットコムツアー・ファイナル4試合に挑んだ石川遼が、その最終戦となったウエブドットコムツアー選手権を8位で終え、来季の米ツアー出場の優先度を決めるランク13位で2014年シーズンを迎えることになった。
遼、シーズン最終戦は8位タイ!3戦連続トップ10フィニッシュ
 8月のウインダム選手権で今季の米ツアーのレギュラーシーズンが終わったとき、フェデックスカップランクの125位以内を逃した石川は、その時点でウエブドットコムツアー・ファイナルへ挑むことが決まってしまった。あのとき石川は「覚悟はできている」と言ったけれど、実を言えば胸中は複雑だったのだそうだ。
 「この4試合が決まったとき、ウエブドットコムツアーの上位選手たちと一緒に戦って自分がどれぐらいの位置に行くのか、それを知りたいという興味を抱いた。でも、その中で上位にいけるという自信があったわけじゃない。半分以上、不安だった」と振り返った。
 その不安が緊張につながってしまったようで、ファイナル4試合の初戦は予選落ち。だが、2試合目以降は徐々に調子を上げ、最終戦は日に日に着実に順位をアップして8位で終了。だが、トップ10の8位になっても、来季の米ツアー出場権と優先順位を決める50枠のランクのほうは前週までの10位から13位へ下がってしまった。
 「(これまで)ウエブドットコムツアーから米ツアーに来て活躍してきた選手は、ウエブドットコムツアー(賞金ランクの)1位、2位で(米ツアーへ)上がってきた人たちという印象が強い」という石川は、だからこのファイナル4試合をトップ5以内で終えて来季に挑みたいと思っていた。が、結果は13位となり「悔しい部分がある」と唇を噛み締めた。
 だが、半分以上は不安だったことを思えば、ファイナル3試合目で来季の米ツアー出場権を確実化し、「来年、また米ツアーでやれることにほっとしている」というのも頷ける。「ホントに五分五分なんです。ほっとしている反面、13位に満足しちゃいけないという思いもある」。
 安堵と悔しさが混在する複雑な心境を胸に秘めながら、プレッシャーに打ち克ち、来季の出場権獲得という結果をきっちり出した石川は、世界で戦う本当の厳しさをこの下部ツアー4戦で知ったのだと思う。
 そう、ゴルフには相反する感情がつきまとう。正反対の選択や判断をしばしば求められる。安堵しながらも悔しさを感じ、満足しながらもどこかには不満。リスクと安全は常に背中合わせで、理想と現実は乖離していく。その中で、相反する感情をどうやってコントロールしたらいいのか。リスクと安全をどう配分したらいいのか。
 そのバランスの取り方、その判断の仕方。それこそが世界のトッププレーヤーたちの明暗を分けるポイントで、タイガー・ウッズやフィル・ミケルソンはその難しさをメジャー大会で感じ、石川はそのギリギリ感を今回はウエブドットコムツアー・ファイナルで感じたということなのだろう。
 スターダムをずっと駆け足で昇ってきた石川だからこそ、駆け足の脆弱さに気が付き、少しばかり立ち止まったり後戻りしたりすることの大切さをようやく知った。
「これに出て良かったと思っています。こういう形だけど、乗り切った。時間をかけて作ってきたものは崩れにくくなっている。そこに価値がある」
 かつて「急がば回るな」と言った石川が、スローダウンの効用を語る石川に変わったことは、彼にとっても、日本のファンにとっても喜ばしい結果をきっともたらすはず。私は、そう信じている。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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