キャピタル・ワン・カップ3回戦(9月25日)。リヴァプール戦に左SHとしてスタメン出場した香川真司。試合結果は「1−0」でマンチェスター・ユナイテッドの勝利。香川は後半28分までプレイした。前半は45分で交代となってもおかしくないぐらいの乗り切れない感じのプレイが何度も見られていたが、後半になってからはプレイのリズムを掴んでパフォーマンスを上げ、攻守に前半の悪さを帳消しにするぐらいの良さを発揮していた。残念ながら堅実に勝ちを取りに行った交代采配により、香川は後半28分にキャリックとの交代となってしまったが、後半のパフォーマンスだけならば合格点だったと評価できる。


この試合の香川について感じた事は3つ。1つには、足を滑らせる、ボールコントロールにもたつく、最初の一歩のところでのスピードアップが遅い、というシーンが1回から2回ぐらいあった事で、やはりどうも香川は以前よりも軽やかさを落としているような気がする。小回り良く素早く回転して相手を置き去りにし強烈なミドルシュートを放つ、というシーンも1回だけあったが、力んでしまっている、という事もあるかもしれないが、そういう時のプレイにもどこか以前よりも堅さを感じてしまう。モイズが監督になった事で更にフィジカル的な強さを求められているのかもしれないが、とにかくフィジカルを鍛える事でアジリティを落とす事だけは避けて欲しい。

2つには、リズムの遅さ、という事をどうチームに落とし込むのか。プレミアのチームにはそういうチームが多いとは思うが、マンチェスター・ユナイテッドも縦にアップテンポな攻撃をする事が多く、香川はまだそのスピードに付いて行けていないところがある。また、香川がボールを持った時には攻撃がスピードダウンする傾向にある。但し、それが必ずしも悪いという事ではない。緩急における緩の部分であったり、中央からの崩しであったり、ポゼッション率を上げる事であったり、そういう部分をマンチェスター・ユナイテッドというチームに加えるのが香川の役割でもあるから、簡単に言えばプレミア的なプレイをする選手になる必要は無い、という事は言える。

しかし、アップテンポのリズムで攻撃がスムーズに流れている時には、やはりそのアップテンポのリズムに合わせてプレイしないと上手く攻撃に絡む事ができないし、また、香川がボールを持って意図的にテンポを落とした時に、ボール回しの起点としてプレイするだけではなく、そこからテンポアップするスイッチとなるパス、最終的にどのような展開で得点まで至らせようとしているのかが伝わってくるようなスイッチとなるパスを出す、そういうプレイがもう少し必要だと感じる。ウェルベック、A・ヤング、バレンシア、ナニ、このあたりの選手がライバルとなっていると思うが、その中で香川だけはタイプが違うので、そうである事がどうチームに良さを落とすのか、という事をもっとモイズに示さなければならないと思う。

そして、3つには、かなり守備意識は高くなってきた、という事は感じる。相手のSBに対するマークをルーズにするようなシーンはかなり減り、全体的にも守備をサボっているようなシーンはほとんど無くなっている。守備力が高いか低いか、守備が上手いか下手か、という事で言えば、やはり守備力が高いとか守備が上手いとかは言えないが、しかし、A・ヤングやナニと比べれば同程度か香川の方が良いぐらいだと思うし、ウェルベックやバレンシアとはフィジカルや身体能力の差が守備力の差となっていると言えると思うし、今ぐらいの守備への献身性を続けていれば守備を問題視される事は少なくなるのではないだろうか。