消費増税の決断を控え、日本の株式市場の6割を占めるといわれる外国人投資家たちは増税についてどのようにとらえているのだろうか。世界のファンドフロー分析に詳しいパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表取の宮島秀直氏が分析する。

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 米国の著名ヘッジファンド業界調査会社である、VANHEDGE社によると、昨年11月以降のアベノミクス相場における、シカゴ先物市場での日経株価指数先物の平均買いコストは1万2900円前後。もし、ヘッジファンドが「アベノミクスはまだ期待できる」と思えば、株式相場はこの1万2900円前後で推移するだろうが、「アベノミクスは終わった、逃げよう」と判断すれば、この水準を割り込んで大きく下落するだろう。

 一方、世界の機関投資家への最新ヒアリングでは、彼らのメインシナリオは、「消費税増税は予定通り実施される」という見方だ。また、10月以降は、いよいよ企業に対する減税が実施されるため、設備投資なども動き出すと見ており、9月末にかけて日本株が下落するようであれば、そこが逆に“買い場”になると予想する向きもある。

 秋の臨時国会に向けて、安倍政権は成長戦略第2弾を策定しているが、その内容に関して、外国人投資家は依然として期待を寄せている。とりわけ注目しているのが、企業に対する設備投資減税と法人税減税である。8月中旬の段階では、この2つの減税に関して、消費税の増税問題と同じように、政府・与党内からは正反対の意見が聞かれているが、最終的には安倍首相のトップダウンで実施が決まると期待している。

 ただし、今回は時限的な措置にとどまる模様で、恒久的な設備投資減税および一律の法人税減税には至らないとされている。しかし、設備投資減税と法人税減税がセットになるとの予想もあり、設備投資に積極的な企業は恩恵を被ると考えられている。加えて、設備投資を促す意味で、必要以上に内部留保の厚い企業に対しては何らかのペナルティーを科す、との見方も浮上しているほどだ。

 日本株に積極的な外国人投資家の顔ぶれは、今年5月以降、変わってきている。5月までの主役は、世界各国の経済、金利、為替などのマクロ指標の予想に基づき機動的な投資を行なうグローバルマクロや、さまざまな金融商品の先物取引に特化したCTAと呼ばれるヘッジファンド勢だった。

 だが、日経平均株価が高値を付けた5月以降は、同じヘッジファンドでも、割安な銘柄を買うと同時に割高な銘柄を空売りするロング/ショート型のヘッジファンドが台頭している。その個別銘柄の分析を得意とするロング/ショート型ヘッジファンドが、設備投資減税と法人税減税に大きな期待を寄せており、どの企業が積極的な設備投資を打ち出すか、固唾をのんで見守っている状態だ。

 現時点で、そうしたヘッジファンドの運用担当者からは、大手自動車メーカーと大手機械メーカー、大手サービス産業に注目しているとの声が聞かれる。

 当然、日本株下落リスクは意識しており、そのあたりで、設備投資に積極的な銘柄をロング(買い)とし、いわゆるキャッシュリッチだが設備投資に消極的な銘柄をショート(売り)にするタイミングを窺っている模様だ。

※マネーポスト2013年秋号