出展したメイドカフェに設けられた舞台前で、音楽に合わせ踊る来場者

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9月20日から22日までの3日間、パリ郊外パルク・フローラルにて日本カルチャーを紹介するイベント「Tokyo Crazy Kawaii Paris(トウキョウ・クレイジー・カワイイ・パリ)」が開かれた。「リアルな今の日本を体験してもらいたい」という趣旨のもと、「カワイイ」というネーミング通り、日本のポップカルチャーに興味を持つ女性を狙ったイベントだ。

フランスの日本イベントと言えば漫画、アニメ、テレビゲームを中心に紹介されるジャパンエキスポが有名だが、こちらは仏JSTカンパニーによるもの。一方でTokyo Crazy Kawaii Parisは日本のイベント制作会社・AATJや電通が主導する。日本人の手による本格的日本イベントは、フランスでどのような雰囲気だったのか。

「リアルな今の日本」という趣旨通り、会場内には直輸入されたそのままの日本が広がっていた。渋谷109に入店しているファッションブランドや、東京のラーメン屋「せたが屋」、ハイボールで有名な銀座のバー「ロックフィッシュ」、回転ずしの「がってん寿司」などがブースを連ねた。歌手で女優の土屋アンナさんのコンサートや、お笑い芸人の木村祐一さんによる日本食のデモンストレーションも行われた。フランス人から見た日本ではなく、日本人から見た日本だ。

入場料は1日券18ユーロ(約2400円)で3日間通し券は45ユーロ(約6000円)。会場内での飲食は讃岐うどん10ユーロ(約1300円)、せたが屋ラーメン13ユーロ(約1700円)、優勝軒ラーメン15ユーロ(約2000円)、すし(マグロ・サーモン・イカの3個)9ユーロ(約1200円)と日本の市価と比べると(材料の輸送コストもあるだろうが)高めだ。

初日はかなり閑散としていたものの、土曜と日曜はある程度のにぎわいをみせた。ただしジャパンエキスポに比べると人出は確実に少ない。初開催という点でTokyo Crazy Kawaii Parisがジャパンエキスポほど認知されていなかったということや、ジャパンエキスポで大規模なブース展開をする大手企業があまり参加しておらず、華やかさに欠けたということも関係しているかもしれない。客層はジャパンエキスポとほぼ変わらない印象を受けた。会場内を見渡すと、安定して人を集めていたのは漫画、アニメ、メイドカフェ、ボーカロイドや、浅草や京都の土産物屋で外国人観光客が好んで購入するような日本雑貨を販売するブースだ。

気になったのは、会場全体を通してフランス語対応の充実さがジャパンエキスポに比べて低いということ。各ブースの見せ方もジャパンエキスポほど凝っていない。同イベントは経済産業省によるコンテンツ海外展開等促進基金(J-LOP)からの助成を受けている。フランス人が求める「日本」を充実させつつも、いかに独自色を出していくかが、Tokyo Crazy Kawaii Parisにとって今後の課題になりそうだ。
(加藤亨延)