「最も頻繁に利用する金融機関はどこですか?」こう質問されたら、まず圧倒的大多数が「銀行」と答えるだろう。社会で働いていれば、いずれかの銀行に口座を開いているはずだ。そして、今や銀行は各種支払いや預金の出し入れのみならず、投資信託をはじめとする金融商品の販売チャンネルとしても大きなシェアを誇るようになっている。当然ながら、銀行でもNISA(少額投資非課税制度)を利用できるし、すでに各行はその口座獲得に力を入れ始めている。そこで、今回はメガバンクとゆうちょ銀行のNISAに対する取り組みを追いつつ、その動きが起こしうる将来の変化に注目したい。


今から約15年前、「日本版金融ビッグバン」と呼ばれる大がかりな規制緩和策の口火が切られた。当時、それらが何を意味するのかについて、一般的にはさほど理解が深まっていなかったのが事実だろう。しかし、振り返ってみれば、実際には金融ビッグバンが数々の変革をもたらした。

外為法解禁が後のFX普及に結びつき、競争激化に伴う合従連衡でメガバンクが誕生したことを思い浮かべるかもしれない。だが、それらもさることながら、私たち投資家にとってきわめてインパクトが大きかったのは、株式の売買委託手数料の自由化だろう。

規制緩和とともに引き下げ競争が勃発し、瞬く間に私たち投資家の取引コストはダウンしていった。実は、日本版ISAことNISA(少額投資非課税制度)も、それに匹敵するような大変化をもたらすポテンシャルを秘めている。そして、大きなカギを握っているのがメガバンクである。

なぜなら、銀行が投資信託の販売シェアの5割近くを占め、その主要な売り手となっているからだ。金融ビッグバンの一環で銀行窓口での販売が可能になったからこそだが、証券会社よりもハードルが低い、身近な金融機関としての存在感が大いに発揮された格好である。

格安手数料を武器にネット証券は個人の株式売買シェアでは大手証券を凌駕するものの、投信では微微たるシェアにとどまっている。販売手数料のかからないノーロード型ファンドの普及にも努めてきたが、それが投信業界のスタンダードとなるまでには至っていない。

だが、NISAのスタートを機に銀行も低コスト投信の取り扱いに力を入れるようになれば、投信の供給サイドもその意向に答えざるをえないはず。果たして、銀行はNISAに関してどんな戦略を練っているのか?

まずは、業界最大手の三菱東京UFJ銀行から話を聞いた。





この記事は「WEBネットマネー2013年10月号」に掲載されたものです。