東京開催が決定した2020年夏季オリンピック。開催地で起こる経済効果は計り知れない。東京五輪招致委員会によれば、オリンピック開催に伴う経済効果は、東京都内だけで、約1兆6700億円、全国総計で約2兆9600億円と試算されている。経済効果により、株式市場ではどのような銘柄の株価が上昇するだろうか。メイン開催地となる東京湾岸地区の現状から考えてみよう。

●有明から晴海方向を望む

五輪招致決定で期待できる銘柄を考える手前の工事中の箇所は、築地市場の移転先である豊洲市場。さらに海を隔てた奥側が選手村となる晴海地区

■ウォーターフロントでの開催。まずは海上土木業界に注目

 選手村ができる晴海や、バレーボールや体操競技、BMX、自転車トラック競技会場が新設される有明地区は、ご存知の通り、ウォーターフロント。会場の目の前が東京湾となる立地である。したがって、海上土木技術に強い建築関連企業の受注増加が予想できる。海上土木技術とは、例えば、防波堤や防潮堤を築いたり海底の建物の基礎を築いたりする技術である。海上土木に強い建築関連企業を以下にまとめた。

●上場する海上土木関連企業

銘柄コード銘柄名過去の主な実績
1813不動テトラ羽田空港再拡張における滑走路地盤改良(東京都)、品川内賀埠頭岸壁改良整備(東京都)など
1885東亜建設工業NTPマリーナりんくう新規建築(愛知県)、相馬港災害復旧工事(福島県)など
1888若築建設衣浦港廃棄物最終処分場における護岸工事(愛知県)、八戸港外港防波堤築造(青森県)など
1890東洋建設南港国際フェリーターミナル(大阪府)、東京国際空港庁舎(東京都)など
1893五洋建設洋上風力発電施設建設(福岡県)、下新川海岸突堤工事(富山県)など

(各建築会社IR資料等より筆者作成)

上場する海上土木企業は、2013年9月17日現在で5社。最大手は五洋建設で2013年3月期における経常利益は、6559億円。競技会場が埋立地であることもあり、護岸整備のほか、地盤改良でも工事を受注するとみられ、株価上昇が期待できる。

五輪招致決定で期待できる銘柄を考える競技場が建築される有明地区。画面右奥がレインボーブリッジ。護岸は綺麗に整備されているが、本格的な工事は始まっていない。ちなみに、元は「16万坪」と呼ばれる貯木場であった。

■高層マンションデベロッパーに注目

 湾岸地区では、高層マンション建築も盛んである。現在建築が進んでいる高層マンションには、「ブリリア有明スカイタワー(有明:東京建物/住友)」、「SKYZ TOWER & GARDEN (豊洲:三井不動産/東京建物/三菱地所/東急/住友/野村)」、「ザ・パークハウス晴海タワーズ」(晴海:三菱地所)」などのプロジェクトが進んでいる。いずれも竣工はオリンピック開催前を予定。オリンピック開催に伴う地価上昇に伴い、人気物件となることは必須。売り出し後に即完売が見込めるので、業績による株価上昇が期待できる。

●湾岸地区のマンションを手がけるデベロッパー。

銘柄コード銘柄名
3231野村不動産
ホールディングス
SKYZ TOWER & GARDENを手がけるデベロッパーの一つ。湾岸地区では、東雲地区で「プラウドタワー東雲キャナルコート」を即日完売させた実績あり。
8801三井不動産新豊洲駅前に建築中のSKYZ TOWER & GARDENを手がける。また、晴海にあるザ・パークハウス晴海タワーズの東側の土地も取得し、同地区の新規プロジェクトに期待できる。
8802三菱地所ザ・パークハウス晴海タワーズを手がける。1744戸という超大規模マンションの完売による業績拡大は必然か?
8804東京建物有明地区でブリリアマーレ、ブリリア有明スカイタワーをすでに販売し、3棟目となるブリリア有明シティタワーを進行中。有明地区でのシェアはNo1か?
8815東急不動産三井不動産と共にSKYZ TOWER & GARDENを手がける。湾岸地区では他に東雲地区でのマンション販売経験あり。
8830住友不動産東京建物と同じく、有明地区でのマンション建築プロジェクトを進行中。シティタワー有明を販売済で、ブリリア有明シティタワーを東京建物と共同で進行中。また、有明地区での新プロジェクト「有明ガーデンシティ」も同社が手がける。

有明〜晴海地区でマンション販売を手がけるデベロッパーをまとめた。東京建物や住友不動産は、それぞれ不動産販売会社が別で上場している。各デベロッパーとも、湾岸地区でのマンション建設を今後も継続してくるだろう。また、デベロッパーよりマンション建築を受注している三井住友建設(1821)や鹿島建設(1812)なども株価上昇が期待できるだろう。

●各マンション販売のウェブサイト

五輪招致決定で期待できる銘柄を考える 五輪招致決定で期待できる銘柄を考える

五輪招致決定で期待できる銘柄を考える

都心に近く、これから発展することを主題として販売を展開。現在はまだオリンピック開催の表記はみられなかった。この中で選手村に一番近いのは、「ザ・パークハウス 晴海タワーズ」。有明の競技場に一番近いのは、「ブリリア有明シティタワー」である。

五輪招致決定で期待できる銘柄を考える

建築中のSKYZ TOWER & GARDEN。複数のデベロッパーが手がけるマンションで、北西方向に選手村が、南西方向に有明地区の競技会場が広がる眺望で、人気物件となるだろう。

 そもそもオリンピック競技場建設の受注による大手ゼネコンの業績上昇は必須であり、投資家の注目の的となっている。したがって、湾岸地区の現状に限定して話を進めてみた。実際に筆者が住まう湾岸地区のマンションでは、すでに中古価格の上昇が始まっており、新築購入時のデベロッパーに話を伺ってみたところ、オリンピック開催決定後は問い合わせが増えてきてるという。建築業界全体で相場は上昇するが、当然銘柄ごとに上昇率は異なってくる。できるだけ高い上昇率の銘柄を選定するための参考になれば幸いである。

(文/久我吉史)