iPhoneの販売を開始したことで話題となっているドコモ。各社横並びとなり、キャリア間の争いがますます激しくなりそうです。しかしそんな話題のドコモですが、かつては競合他社に惨敗を喫していた時期があったとか。2006年、ドコモは顧客満足度に関わる5つの調査項目すべてにおいて競合に惨敗、「一人負け」状態にあったといいます。老舗キャリアというイメージのドコモですが、そうした辛酸をなめ、そしてそこから這い上がった歴史があるのです。

そうしたドコモの復活劇について書かれているのが、魚谷雅彦氏の著書『会社は変われる! ドコモ1000日の挑戦』。著者で当時日本コカ・コーラ会長だった魚谷氏は、まったくの異業種であるドコモに特別顧問として招かれ、マーケティング変革を任されることとなります。顧客志向の徹底や既存顧客のロイヤリティ向上など、様々な施策を行った魚谷氏ですが、その中で興味深いのが、「改革1年目にはドコモショップに変革を求めなかった」ということ。

著書の中で魚谷氏は、「マーケティングではあらゆるお客さまとの接点がコンタクトポイントになる」といい、「なかでももっとも重要なコンタクトポイントといえば、やはりショップということになるでしょう」と書いています。その、もっとも重要な場所であるはずのショップにあえて手を付けなかった魚谷氏。理由を次のようにつづっています。

「であるならば、まずはもっとも重要なこのコンタクトポイントこそ、てこ入れしなければならなかったのではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、僕はそうは思いませんでした。というのも、ドコモショップは、代理店による別会社の経営で行われているからです。ドコモショップとの関係は基本的にパートナーシップです。(中略)となれば、どうしてもドコモとショップの関係は、言う側、言われる側、命令する側、される側、というニュアンスを生んでしまいかねません」

そしてそう考えた魚谷氏は、あえて次のような方法をとったと言います。

「そこで考えたのは、1年目はとにかくドコモだけを変える、ということでした。僕たちは変わりました、いっしょにやりましょう、ブランドでつながる運命共同体なのですから、という空気をドコモから代理店に対して醸し出していくことができればと思いました」

そしてその言葉通り、1年目はショップに対してアクションはほとんど起こさなかったと言います。ところが2年目に入ると、ショップのほうも少しずつドコモの変化の影響を受け始めたのだそう。「なんだかドコモが変わろうとしている、それも真剣なようだ」と感じ取るようになったと言います。そして自然発生的にショップ側も共同歩調をとりはじめ、それらの成果として2010年、ドコモは顧客満足度のもっとも高い携帯電話サービス会社に。あえて直接手を付けなかったことが、奏功したかたちとなりました。

老舗キャリアとして安定的な支持を受けている印象だったドコモですが、顧客のためにこうした変革も行っていたんですね。



『会社は変われる! ドコモ1000日の挑戦』
 著者:魚谷 雅彦
 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
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