来年4月からの消費税増税が確実視されている。当初の予定通り、5%から8%へと税率が引き上げられたら、日本経済にどんな影響があるのか。経済アナリストの森永卓郎氏が解説する。

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 消費税率がアップしたら、具体的にどのようなことが起こるでしょうか。当初の計画通り消費税率が3%上がったとすると、その影響で消費者物価は2%上がるというのが大方のエコノミストの一致した見解です。

 一方で、インフレターゲットに踏み切った日銀は、2年後に消費者物価を2%上げる目標に向かって金融緩和を継続していく。消費税増税のタイミングにあたる来年4月はちょうどその折り返し点となるので、計算通りなら、物価は1%上がっていることになります。消費税の引き上げ分と金融緩和による分を合わせた物価上昇率は3%になるわけです。

 それに対して、賃金の上昇率はどうか。現在も中小企業の業績はまだ一向に良くなっていませんから、賃金は上がっても、来年度の平均引き上げ率はおそらく1%を切る程度でしかないと思われます。結果として、来年4月以降は実質的に2%以上の賃下げになるということです。これでは、景気がどんどん回復していく期待は持てません。

 マクロ経済面から見れば、来年3月の今年度末までは日本の景気は確実に回復基調を辿ると私は考えています。それに伴って、日本株の株価上昇も続くと思います。しかし、それが4月以降には消費税アップによって潰されるリスクがあることを肝に銘じておく必要があります。

 消費税引き上げの経済に与える負のインパクトを侮ってはいけません。実際、1997年に消費税率を3%から5%に引き上げたのがきっかけとなって、日本は15年間のデフレ経済に突入することになったのです。そして、今回も同じぐらいの負のインパクトが4月に待ち受けているといえそうです。

 ただし、少なくとも3月まではアベノミクス効果に加えて駆け込み需要などもあって、経済全体も株価も好調な推移が見込めるというのが、私の描いているシナリオです。

※マネーポスト2013年秋号