65歳から受け取る年金は、受給を「繰り下げる」こともできる。繰り下げは最大5年、70歳まで遅く受け取ることができ、年金額は〈繰り下げた月数×0.7%〉で増額される。この効果は大きい。

 65歳からの受給額を100%とすると、繰り下げ年数によって、受給額は以下の割合で増え、生涯固定される。

・66歳から受給→受給額108%
・67歳から受給→受給額117%
・68歳から受給→受給額125%
・69歳から受給→受給額134%
・70歳から受給→受給額142%

 たとえば、65歳から月額17万4000円を受給するAさんが70歳受給を選択すれば、受給額は142%の24万7080円になる。65歳の男性の平均余命は84歳。仮に、84歳まで生きるとすれば、65歳から受給を開始すると総受給額は3967万2000円になる。

 一方、5年繰り下げて70歳から受給すると総受給額は4150万9440円になる。その差、183万7440円も増えることになる。もちろん、Aさんはすでに65歳まで生きたわけだから、平均余命の84歳を超えて長生きし、さらに総受給額が増えていく可能性も高い。年金博士として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏が語る。

「今の長寿化時代を考えれば、年金額が減ってしまう繰り上げは、単純な額でいえば損をする可能性が大きいといえます。だから、65歳を過ぎても生活に必要なお金がある人であれば、繰り下げを選択して、年金額を増やすメリットを検討すべきでしょう」

※週刊ポスト2013年9月20・27日号