問題は王会長の健康面。自身の体調を誰より知る王会長は固辞する考えというが、それでも渡邊会長が王コミッショナーにこだわるのは、「次の次」を視野に入れているからだという。
 「日本ハム監督の栗山英樹監督(52)です。楽天の三木谷浩史オーナーとソフトバンクの孫正義オーナーはビジネス感覚に長けた若手コミッショナーの擁立を訴えており、そこで浮上してきたのが栗山監督なのです。これまでコミッショナーは、法曹界か元高級官僚ばかりでしたが、栗山氏は日本のプロ野球で唯一の国立大学(東京学芸大)卒で、長くスポーツキャスターを務め、大学教授も務めた経歴を持つ。監督としても日本ハムでいきなり優勝を果たし、今季は高卒ルーキーの大谷翔平を二刀流起用するなど、斬新なアイデアで球界を盛り上げている。球界のドンとして長く君臨してきたナベツネさんには、これからのプロ野球を担うのは三木谷氏らの若手オーナーという思いもあり、王コミッショナーを挟んでの、栗山氏擁立には異論がないようです」(大物野球解説者)

 ところが、2020年の東京五輪の開催決定で、このプランは幻に消えつつある。ヤクルトファンで栗山氏とは現役時代から交流がある安倍晋三首相が一本釣りを図っているからである。
 東京五輪招致委員会の幹部が語る。
 「これまで五輪開催に向けては招致委員会が中心だったが、今後は組織委員会が立ち上げられ、具体的な準備が始まる。ここでもっとも重要なポジションとなるのが、組織委員長です。IOC委員などのロビー外交とは違い、ビジネス面を求められるからです。ロス五輪では若手実業家のピーター・ユベロス氏が抜擢され、放送権料やスポンサー収入などで黒字に転嫁させ、この功績でMLBコミッショナーに就いた。イタリアW杯ではF1フェラーリのチームマネジャーだったルカ・ディ・モンテゼモーロ氏が大会事務局長に起用され、これまたフェラーリの親会社であるフィアット社の会長まで上り詰めた。安倍首相が東京五輪でその役目を期待しているのが栗山氏なのです。五輪成功を手土産にプロ野球のコミッショナー就任、ということなのでしょう」

 いずれにしても、「次の次」と目された栗山氏のコミッショナー就任案が消え、同時に「次」を託される王氏もバトンを渡す相手が消えたことで固辞する方向。
 苦肉の策として噂されているのが、中村博彦氏の死去に伴い参院議員に繰り上げ当選した元巨人監督で自民党の堀内恒夫氏だというが、栗山氏ほど新鮮味はなく、読売色も強過ぎる。

 大喝采の東京五輪の開催決定だが、プロ球界には大きな波紋を投げかけている。