シニア世代へ向けた商品やサービスが充実している昨今、その広告に欠かせないのがシニアモデルの存在。改めて注目することは少ないかもしれませんが、実はその仕事はなかなかハードなものがあるようです。そんなシニアモデルの実際について書かれているのが『恋するように生きなさい 人気シニアモデル、いまが人生でいちばん輝いている理由』。実際にシニアモデルとして活躍している、照井邦子さんによって書かれた一冊です。

 表紙の写真でわかるように、さすがモデルだけあって若々しく美しい照井さん。しかし、シニアモデルの世界では単純に美しさがそのまま評価されるというわけではないようです。書籍では次のようにつづられています。

「広告関係のモデルの場合は、商品や企業のイメージに合うかどうかがいちばん大事なのですね。たとえば、庶民的であることをアピールしたい場合には、美人であるかどうかではなく、温かな雰囲気のあるおばさま的なモデルが選ばれるなど」

 そしてさらに、照井さんが身を置くCMモデルの世界には独特の審査基準があるそうです。

「私のようなCM中心のモデルはたいてい、何かしらの役どころがあります。たとえば、電力会社のIHヒーターのモデルならば、娘が買ってきた野菜で料理をつくり、お玉で味見をする役柄とか。オーディションでは目の前の鍋を使ってすぐ作るように言われることもあります。どの鍋を使うか、どの野菜を選び、どのように包丁を使うか。すべてが審査対象なのです」

 時には、スタッフから唐突なリクエストが突きつけられることも。

「あるときなど、スタッフから、『おばあちゃん、揚げものをつくってよ』と突然、メニューを変更されたこともあります。この撮影のとき、私は3世代住宅に住むおばあちゃんの役でした。こんなときも、『ええ? 急に言われても!』などと思ってはダメ。『はい。から揚げにします? それとも天ぷら?』とさらっと受け、それにふさわしい鍋を選んで、てきぱき対応できなければ先へは進めません」

 相手の要求に臨機応変に対応しながら、その役柄をしっかり演じる。シニアモデルへの要求はかなりレベルが高いことが分かります。さらに照井さんは、モデルはどんな場合でも「人に好感をもたれ、おだやかで優しい笑顔の持ち主」であることが求められるとし、さらにそれらは決して「つけ焼刃では出せない」とも言います。

「ふだんから、心から幸せを感じて、おだやかな気分で機嫌のよい毎日を過ごすこと」が、モデル、とりわけシニアモデルには欠かせないことなのだそう。確かに、生き方というのは表情に表れるもの。実際に現在人気のシニア世代の芸能人も、そうした「生き方」が魅力的な人が多いようです。

 シニア向け宿泊予約サービスを提供する株式会社ゆこゆこが、シニア世代を対象に「生き方・ライフスタイルに憧れる同世代の有名人」を調査したところ、男性の第1位が、世界最高齢となる80歳でエベレスト登頂を果たした三浦雄一郎さん。女性の第1位が女優の吉永小百合さんという結果になりました。

 三浦雄一郎さんは「冒険心を持ち続けている」「高い目標に向かって努力・挑戦する生き方」などの生き方が支持され、1位に。2位には歌手で俳優の加山雄三さん、3位には元読売巨人軍の長嶋茂雄さんがランクイン。「年を重ねても仕事と人生を楽しんでいる」(加山さん)、「病を克服し、いまなお野球に情熱を捧げる姿に胸を打たれる」(長嶋さん)と、こちらもそれぞれの生き方が、同世代の心をつかんだようです。

 女性の1位となった吉永小百合さんは「いまも変わらず美しい」「自分のライフスタイルを確立し、毎日を有意義に過ごしている」などの理由で、特に往年の"サユリスト"からの熱い声が。2位にはNHKのドラマ「あまちゃん」で"夏ばっぱ"を好演している宮本信子さん、3位には夏木マリさんが入りました。女優さんがトップ3を占めた形ですが、いずれも美しさとともに「それぞれのライフスタイルを確立している」ことなどが評価を集めました。

 シニアモデル、俳優、登山家、分野は違えど、年齢を重ねてもその道で輝いている人たちに共通しているものとは――。9月16日の「敬老の日」を前に、読んでみたい一冊です。

【関連リンク】
シニア世代の日常生活に関する調査」(ゆこゆこ調べ)
https://www.yukoyuko.co.jp/



『恋するように生きなさい 68歳人気シニアモデル、いまが人生でいちばん輝いている理由』
 著者:照井 邦子
 出版社:光文社
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