9月14日、東京六大学野球の秋季リーグが開幕する。毎年のドラフト会議において上位で指名される選手が多く所属するこのリーグだが、今年も例年通り注目選手がいる。その1人が岡山は倉敷商業高校出身で現在明治大学の4年生で、ソフトバンクや阪神などがドラフトで上位指名をするだろうと予想されている岡大海だ。大学生野手NO1との呼び声も高い彼だが、倉敷商業から明治大という経歴が現東北楽天ゴールデンイーグルスの星野仙一監督と同じという点も注目される理由の1つ。そして彼は、日本ハムファイターズの大谷翔平選手によってプロ野球界内外に話題を読んでいる"二刀流"の使い手としても注目を浴びている。ドラフトまで2ヶ月となった今、最後のリーグ戦にかける思いやプロ入り後の二刀流の動向について語ってもらった。

プロ入り後は野手に専念することを目標に

ー大学生活、今までの3年半を振り返っていかがでしたか?
今までの3年半は投手として力を入れていたんですけど、このラストシーズンは野手に専念しようと思っています。というのも。春前に自分自身、怪我をしてしまって思うように投手としてうまく練習ができないということがありましたし、結果もなかなかでなかった。その一方で打者として結果が出ていたので、上の舞台でやるのならば打手としてやりたいと思うようになりました。プロに行ったら野手でやろうという思いです。

ーその決断に当たっては、監督さんなどのアドバイスもあったのでしょうか。
特別どうこうというのはなかったんですけど、上でやっていくのならば野手でという話はしました。だからといって投手を諦める訳ではないですけど、そういった話はしました。

ー大学に入った時点では両方で戦いたいと思っていたのでしょうか。
どちらかと言えば投手としてですね。プロに行ったとしても、野手でやっていくつもりではあります。評価してれる方がどう言うかはわかりませんけど、投手をやれと言われたら投手を、野手をやれと言われたら野手をやりたいという感じですかね。

ー二刀流といえば日本ハムの大谷翔平選手が話題になっていますが、受ける刺激はありますか?
自分自身、大学野球でうまく二刀流をやっていたんですけど、投手のほうがいまいちで、打つほうが成績がよくなっていったんです。でも大谷くんは両方の面でしっかり結果を出していますし、素直に凄いなとは思いますね。

ー二刀流の難しさはどういったところでしょうか。
両方を最高な、ベストの状態に持っていくのが難しいですよね。どっちかがよくなるともう片方が悪くなる。そういうことが多かったです。両方で結果を出すのはなかなか難しいです。

ーその点に気づいたのはいつごろですか?
3年の秋に先発で出させてもらったんですけど、中盤から終盤にかけては思うようにピッチングが出来なくなって。そこからですね。先発で出た次の日に野手として出るとなると、体調を整えるのが難しいですし。野手に専念したほうがいいんじゃないか、と。ただ、やっている中では言い訳はできないので、常にベストのコンディションに持っていこうと取り組んでいました。

ー逆に、楽しさもあったのではと思います。
そうですね。他の人より出場機会がありますし、両方やっている分、充実感や楽しさも2倍だと思います。そういった点では充実していました。

ー投手と野手、両方でプレーしてきましたが、それぞれにおける強みはどういったところだと考えていますか?
ストレートでどんどん押していけるところは自分の強みですね、速球には自信があったので。打者だと、遠くに飛ばす力と足の速さ。この2つはどんどん出していきたいと思っています。

"岡山の代表として甲子園に出たかった"

ー野球を始めたのはいつ頃なのでしょうか。

小学校1年生くらいです。3つ上に兄がいるんですけど、その兄が野球をしていて、小学校に入ると同時に同じチームに入ったんです。最初のポジション、というかちゃんとレギュラーで出だしてのはサードですね

ー高校まで岡山で過ごして、明治大学に来たわけですが、そこでで色々な人と交流することになったと思います。そこで人間性が育まれると多くの大学生アスリートは言うのですが、その点はどうでしょう。

明治大学だけでも120〜130人の部員がいますし、その中でも色んな方が居て。過ごしていくうちに人脈は広がっていきますし、刺激されたり勉強になる部分は多くありますね。


ー高校では県外に行こうとは思わなかったのでしょうか?

県外からの誘いもあったんですけど、その中でも、岡山の人だけでやりたいなと。岡山の代表として戦いたいという思いはありました。ただ私立となると県外の選手も来るなと思ったので、県立で、岡山の人だけで甲子園を目指したいなと。そういうチームで私立を倒していきたいというのは思っていました。

ー岡山愛は強そうですね(笑)

どうですかね(笑) まあでも、そういう気持ちはあります。




明治大に来て得たもの

ーでは、そこから明治大に来た理由というのは。

プロの方には野手として評価されている面があったのですけど、まずは投手としてやっていきたいという思いがあって。高校からの先輩である星野(仙一)さんも明治大で活躍してプロに行かれていたので、自分もそういう道を歩みたいと思ったのが理由です。

ー明治大に来てみて、入学前に感じていたものと違いというか、ギャップはありますか?

高校野球はどちらかというと全て指示されて、一つ一つのプレーが見られているという感じです。ただ大学になると自分でやらなければいけないというのはすごく感じましたし、六大学になるとレベルがすごく高いので、まだまだ自分のレベルを高めていかなければいけないと感じましたね。

ー普段の生活のどういう部分から感じました?

全体練習の他に、けっこう時間があるので。そこの自主練でどれだけ自分の力を伸ばしていけるか、というのが大きなポイントになると思いますし、やっぱり大学生活では時間がありますから、そういった時間を大事にしなければいけないなと思います。

ー自主練ではどういったメニューをこなしてきたのでしょうか

投手面では体力づくりですね。走って体力をつけることと、全体の筋力を上げるためにウェイトトレーニングをこなしたりはしました。今となるとバットを降ることと、ウェイトを上げることに注力しています。

ーでは精神面での向上などはあったのでしょうか。下級生から上級生になった際のリーダーシップなどの面で。

2年のときは野村さん(現・広島東洋カープ)という存在がいて、すごくお世話になりましたし、その人に付いていこうと。追いかける形だったんですけど、3年生になって、自分が引っ張っていこうという気持ちになりましたし、お手本に成るようにプレーをしていかなければいけないなと思いました。

ーその中で一番得られたものはどういったものでしょう。

高校時代は自分は実家ぐらしで、大学に入って初めて寮生活を始めたんですけど、その集団生活において自分だけのことを考えるのは駄目だし、人との関わりあいといいますか、周りと助けあっていくことが大切だとは感じました。

ー明治の一員として六大学野球で戦ってきたわけですが、今まで戦ってきた中で印象的だと感じた選手はいますか?

他大学だと、昔はピッチャーだったというのがあって九州共立大学の大瀬良大地ですね。同学年ですし、負けたくないという気持ちはありました。今では富士大の山川、六大学だと法政大学の河合完治はいいバッターなので、強く意識はしています。

日米野球で感じたもの


ーついこの間、日米大学野球に出場しましたが、そこで感じた部分や得たものはありましたか?

体格で言うと、やっぱり日本人よりも一回り大きいなと。そこはすごく思いました。やっている野球に関しては、投手に関しては速いボールを投げつつ、少し動かしてくる。きれいな真っ直ぐではなく、すこし動いてくるボールを投げてきました。日本ではそういうのを投げる投手はいないので、すごく勉強になりました。

ー動かしてくる、というと?

日本だとフォーシームできれいに真っ直ぐ来るんですけど、アメリカだとツーシームでナチュラルに落ちたり曲がったりするのを投げてきます。そういう面で勉強にもなりましたし、新しく経験が出来たと思っています。

ーバッターはどうでしょう

やっぱり、パワーが違うので。少しでも甘いところに行くと打たれてしまいますし、その中でもバントとか走塁面でも大雑把でなくきちんとやってきてくるんですよね。

ー逆に、日本が勝っていると感じた面はありますか?

派手なプレーはできないんですけど、確実にアウトをきちんと取るというところでは日本が上だと思いましたね。

ラストシーズン、そしてドラフトに向けて

ーさて、今週末にラストシーズンが始まりますが、どういったものにしたいですか?

最後なので、もちろん優勝はしたいです。まずはチームが優勝して日本一になることが最大の目標で、その上で自分の成績が付いて来ればいいなとは思っています。やっぱり、チームが勝たないと自分も評価されないですし、チームの勝利が大前提ですね。

ードラフトも近づいています。どういった心境でしょうか。

ドラフトは確かにあるんですけど、それよりもまずはチームが優勝することというのが自分の中では一番にあるので、さっきも言いましたけど、チームが上がれば自分の評価も上がると思います。なのでそこを考えて一つ一つの試合に臨んでいきたいです。

ーキャリアプランはどのように考えていますか?

まずはプロで活躍しないと意味がないと思っているので、今はそれだけを考えてやっています。

ー最後に、最後のリーグ戦への意気込みを聞かせてください

やっぱり、チームがリーグ優勝して日本一になるために自分がどうすれば力になれるのかを考えてやっていきたいですし、ここまで来ることが出来たのも一緒にプレーする仲間や監督・コーチ、家族の人の支えがあってのこと。なのでその人達に、言葉だけでなく優勝という形で恩返しできたらなと思っています。

【writer】
Reona Takenaka

【プロフィール】
平成元年生まれのサッカー・ロンドン五輪世代。2011年よりCSParkのスポーツライターとして本格的に活動を始め、今年度は引き続き関東大学リーグの取材をしつつ、『EL GOLAZO』にて湘南ベルマーレの担当記者を務める。twitterでは記事とのギャップが垣間見える。

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