昨年のロンドン五輪で金メダルゼロと惨敗だった男子柔道が、井上康生新監督(35)のもと、リオデジャネイロで開催中だった世界選手権で、開幕から3日連続で優勝を飾った。金メダル量産の裏に何があったのか。

 井上監督は73キロ級に出場した初出場の大野将平(21)に、対戦相手について、「もう彼らの時代じゃない。お前らの時代だ」と語りかけ畳に送り出したという。
 初戦でぶつかった24歳の韓国選手は元世界王者で、五輪のメダリスト。相手の実績に大野はたじろいだが、この言葉に奮い立ち格上に圧倒して一気に頂点まで駆け上がった。井上監督はこの前日までに登場した60キロ級の高藤直寿(20)には「負けるために来たんじゃない!」、さらに66キロ級の海老沼匡(23)には「お前は世界一にふさわしい男だ」と叱咤し送り出していた。

 井上監督は選手の自主性を尊重し、対話を繰り返し信頼関係を築いてきた。
 「これまでの指導者は根性論を押し付け、金メダルを至上命令とし、銀や銅じゃ問題外だとかえって選手を萎縮させてきたが、井上監督や去年医学博士の学位を取得した古賀稔彦は、それではダメだとコーチングを一新。選手の自主性を尊重し、信頼関係を築いてきたんです」(スポーツライター・織田淳太郎氏)

 確かに、海老沼選手の「監督の期待に応えたいのが第一だった」とのコメントは、これを裏付けている。
 「現代っ子を育てるには、東京五輪以来の古い指導法を排除しなければならなかったが、それがようやくできたということ。選手に暴力を振るうなどは論外。それが今までできなかったのが異常なんです」(織田氏)

 ちなみに、81キロ級から100キロ超級まではメダル0。今後の課題だ。