[其ノ三 投信ファンダ編]メキシコ、トルコ、カナダの投信がアツイ
BRICsの次に注目されている国はメキシコ、トルコ、カナダ。新規設定の投信が相次ぎ、残高を増やしている。これらの国の投信に資金が流入しているその理由とは?


トルコ、メキシコの新興国が新たに台頭。カナダにも注目集まる

米国ゴールドマン・サックスが、世界経済にとって大きな存在となりうる4カ国としてブラジル、ロシア、インド、中国を「BRICs」と名づけてから、はや10年。中国が経済規模で日本を抜くなど、世界の経済情勢は劇的に変化し、5年ほど前まではBRICsこそが新興国、あるいは新市場の代名詞でした。これらの国々の動向は現在も世界中が注目していますが、投資対象としてはやや魅力が薄れてきた印象があります。他方、信用力の改善が進んだトルコやメキシコといった国に現在は熱い視線が注がれています。また先進国では、豪州に代わる新資源国として注目を集めているのがカナダです。

まず、米国の景気回復とともに一気に注目度が高まったのはメキシコ。メキシコは対米国の輸出依存度が高く、米国の影響を受けやすいことから、米国経済の回復に伴う成長が期待されています。今年6月末までの半年間で19本ものメキシコペソ関連ファンドが設定されており、通貨選択型の新たなコースとしても台頭しています。

また、トルコリラもメキシコペソと同様、通貨選択型を中心に人気を集めています。欧州とアジアにまたがって位置するトルコは、現在、欧州の一員として分類されることが多くなりました。



このため、欧州経済から受ける影響も大きく、2011年の春ごろに欧州債務危機が表面化してからは株価の低迷が続きました。ところが昨年ごろから、経済成長重視の政策に対する期待感の高まりと経常赤字の縮小が好感されるようになり、トルコ市場は株式・為替ともに上昇。足元では反政府運動の激化による政治的な混乱が懸念されていますが、投資先としては安定した人気を保っています。注目を集めるようになった時期が早かったこともあり、トルコリラ関連ファンドの残高は7月現在で約8000億円です。

また先進国では、先にも述べましたが、豪州に代わって同じ資源国のカナダが注目を集めています。日本人はどうも「資源」という単語に弱く、特に豪州債券は資源国投資の代表格として投信の世界でもずっと支持されてきました。豪州債券型の投信は、これまで多少の調整はありながらも順調に右肩上がりの上昇を続けてきましたが、成績が大きく落ち込んでいないにもかかわらず、昨年夏ごろから資金流出に苦しんでいます。対中国輸出の鈍化によって豪州経済に陰りが見え始めたうえに、分配金の引き下げも相次いだため、保有投信をリバランスする目的で解約に走った投資家が増えたためです。

カナダドルの債券型投信は、豪ドル債券型と同様、人気の中心はやはり毎月分配型となっています。投資先としてのカナダは、オイルサンド(鉱物油分を含む砂岩)に代表される資源が一番の魅力です。豪州ほど中国経済の影響を受けにくく、また、ブラジルのように国営企業が中心でもないことから、「バランスのとれた資源国」として、債券市場だけでなく株式市場でも注目が集まっています。

今月の海外投信ノ「値」16億元

中国で設定された金ETFの当初設定合計額

中国で初めて設定された2本の金連動型ETF(上場投信)は、金価格の下落などを受け、当初設定額が予想を下回りました。中国はインドに次ぐ世界第2位の金消費国ですが、ETFに関してはまだなじみが薄く、市場が厚みを増すまでには時間がかかりそうです。



【今月の投信師匠】
篠田尚子(SHOKO SHINODA)
トムソン・ロイター・マーケッツ

慶応義塾大学法学部卒業。リッパー・ジャパンに所属するファンドアナリスト。情報量の多さと分析の鋭さは天下一品!



この記事は「WEBネットマネー2013年10月号」に掲載されたものです。