ボクシング井岡一翔、強敵との試合を避ける“亀田システム”の複数階級制覇に意味はあるのか

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 11日、プロボクシングWBA世界ライトフライ級王者の井岡一翔が2度目の防衛戦を行い、同級5位のタイ選手を7ラウンドでノックアウト。同級での世界戦3試合連続KO勝利を記録するとともに、同王座の防衛に成功した。

 井岡は試合後のリング上で「僕がライトフライ級にいる限り、僕のスペースしか空いてない。この座は誰にも譲らない」と堂々宣言。過去にWBAミニマム級王者だったこともある井岡陣営は、年内にもフライ級にウエイトを上げて3階級制覇を目指す方針を明かした。日本史上最速のデビュー7戦目で世界のベルトを巻き、以降も順風満帆に見える井岡のプロキャリアだが、ファンの視線は意外にも冷ややかだという。

「試合後のインタビューには、思わず笑ってしまいましたよ。同じ階級にローマン・ゴンザレスがいることは、もう忘れたんですかね」(観戦したファン男性)

 ローマン・ゴンザレスとは、現在「WBA世界ライトフライ級スーパー王者」という地位にあるニカラグア出身の選手。実は、井岡が現在保持しているベルトには、このゴンザレスに関係する“いわく”がある。

「昨年12月に、WBAは突如、当時チャンピオンだったゴンザレスを、この“スーパー王座”に認定したんです。“スーパー王座”とは、いちおう『WBA王座を5度、もしくは10度連続で防衛に成功した選手』または『他団体との王座を統一した選手』という基準があるものの、実情はWBAが恣意的に運用できる制度です」(専門誌記者)

 このゴンザレスの“スーパー”認定によって、WBAの正規王座は空位に。その空位をランキング5位の選手と争って獲得したのが、現在井岡が保持しているタイトルである。事実上、井岡はゴンザレスに“スペースを空けてもらった”形になったのだ。

「WBAはこの決定戦から90日以内に、井岡とゴンザレスとの指名試合を行うよう通達を出しました。今年2月には試合の入札が予定されていましたが、なぜか延期され、そのままうやむやになっています。統括団体の意思決定さえ反故にして押し通す陣営の手際には恐れ入りますが、井岡が年内に階級を上げて3階級制覇を狙うということは、このままゴンザレスから逃げるということですよ」(同)

 過去に日本のボクシング界で3階級制覇を達成しているのは、現WBA世界バンタム級王者の亀田興毅ただ1人。だが、関係者・ファンの間で、興毅が日本ボクシング史上最も偉大な選手だという認識は皆無だ。

「興毅は、徹底的に強い相手を避け、統括団体に手を回し、効率的に各階級のベルトをコレクションしていっています。その過程には、もちろん放送局であるTBSも重要な役割を果たしている。今回の井岡陣営の動きは、TBSが得意とする“亀田システム”そのものです。とてもファンに理解が得られるものではない」(同)

 複数階級制覇といえば耳触りはいいが、過去に6階級制覇を達成したオスカー・デ・ラ・ホーヤ(米国)やマニー・パッキャオ(比国)、5階級のシュガー・レイ・レナードやトーマス・ハーンズ(ともに米国)らが国際的な尊敬を集めているのは、決してその数字のためではない。その時代のトップ選手たちと臆することなく対戦し、しのぎを削り合ったからにほかならない。

 前出のファン男性が言う。

「井岡の試合はデビューから全部、生で見てます。実力は、間違いなく本物なんですよ。本物だから、亀田みたいな路線で行こうとするのが、たまらないんです……」

 ゴンザレス自身も今後フライ級への転向を明言していることから、近い将来、一階級上で井岡対ゴンザレスが実現する可能性もゼロではないだろう。

 当然だが、現在、客観的な地位としてライトフライ級で井岡より上にいるローマン・ゴンザレスの存在が、TBSの試合中継で触れられることは一度もなかった。

 このまま、パチンコメーカーからのスポンサーマネーに浴してご自慢のランボルギーニを乗り回すのか、本当に強い男と戦って己の人生を証明するか──井岡一翔の、明日はどっちだ。
(文=編集部)