[其ノ二 FX 投資戦略編]米ドル/円の買い 量的緩和縮小開始なら、素直に円安・ドル高
米国の量的緩和の縮小時期に世界の金融市場が一喜一憂。さあ、正念場だ!


「噂で買って、事実で売れ」ではなく、事実そのままの相場展開になる!

9月の最大の注目点は18日の米国のFOMC(連邦公開市場委員会)で資産購入プログラム(いわゆる量的緩和)の縮小が始まるか否か。市場では5月ごろからやや先走る形で、米国経済指標の改善傾向やFRBのバーナンキ議長発言などから、量的緩和縮小の可能性を織り込み、米国長期国債利回りの上昇、株価の調整、米ドル高が起きました。

とはいえ、一方向に早期の量的緩和縮小を織り込んだわけではなく、縮小がすぐには開始されない可能性や、されたとしても縮小ペースは景気回復を脅かすようなものにはならないこと、現在ゼロ付近で推移している政策金利は来年末ごろまでは同水準で維持されるということについても理解が広がっています。

このため、市場は「バイ・ザ・ルーマー、セル・ザ・ファクト(噂で買って、事実で売れ)」ではなく、結果が示唆する方向に素直に反応しやすくなっているとみています。具体的には、資産購入ペース(現在は月間850億ドル)の縮小開始が決定されれば「米国長期金利上昇」「米国株安」「米ドル高」。縮小が開始されない場合には「米国長期金利低下」「米国株高」「米ドル安」といった反応となるでしょう。

ただし、量的緩和縮小という決定は、米国景気の回復ペースに沿った形で行なわれるはずで、そうであれば過度の株安にはつながらないはず、という面もあります。

FOMCの決定に絡んで最も明確に反応しやすいのは米ドル/円でしょう。縮小開始の場合の米国長期債利回り上昇+米ドル高はいずれも米ドル/円の支持要因。株安は「リスクオフ」の円買いを誘発する可能性もありますが、FOMCまでに発表されている経済指標、特に雇用統計や金利上昇の悪影響を受けやすい住宅関連指標が回復継続を示していれば、株価への悪影響は限定的となるでしょう。

豪ドルは米国金利上昇と米ドル高の悪影響を受けやすく、かつ米国株安の場合にも売り圧力を受けやすい通貨ですが、5月以降の大幅下落の過程で悪材料はおおむね織り込み、底固めに入っているため下がりにくいかもしれません。

9月のFX天下分け目スケジュール

1位 18日(水)米国・FOMC 金融政策決定
為替への影響:円安

2位 6日(金)米国・8 月の雇用統計
為替への影響:円安

3位 1日(木)中国・8 月製造業PMI(購買担当者指数)
為替への影響:円高

4位 7日(土)豪州・総選挙
為替への影響:円安

5位 3日(火)豪州・RBA(豪州準備銀行)金融政策決定
為替への影響:円高

6位 5日(木)英国・BOE(英国中央銀行)金融政策決定
為替への影響:円高

7位 5日(木)日本・日銀金融政策決定
為替への影響:円高

8位 5日(木)ユーロ圏・ECB(欧州中央銀行)金融政策決定
為替への影響:中立

9位 22日(日)ユーロ圏・ドイツ総選挙
為替への影響:円安

10位 12日(木)NZ・RBNZ(NZ準備銀行)金融政策決定
為替への影響:円安

一刀両断!9月の為替レンジ

米ドル/円
レンジ:95〜105円
トレンド:円安
現在地:96.3円

ユーロ/円
レンジ:125〜135円
トレンド:横ばい
現在地:128.4円

豪ドル/円
レンジ:88〜98円
トレンド:円安
現在地:86.6円

NZドル/円
レンジ:77〜85円
トレンド:円安
現在地:76.7円

英ポンド/円
レンジ:147〜157円
トレンド:円安
現在地:149.2円

南アランド/円
レンジ:9.5〜10.5円
トレンド:横ばい
現在地:9.6円

※現在値は2013年8月7日現在。

【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
FXストラテジスト

日本銀行で10年にわたり重要な為替取引や調査に従事した後、日興シティグループやバークレイズ銀行でチーフFXストラテジストを務めた。



この記事は「WEBネットマネー2013年10月号」に掲載されたものです。