2020年東京五輪開催が決定した9月8日。前回64年大会のメイン競技場だった東京の国立競技場では、全日本学生陸上選手権が行なわれたが、五輪決定を祝して聖火台に火が灯された。

 五輪を盛り上げて成功に導くために必要不可欠なのは地元日本選手の活躍だ。そのために必要なのは、これからの7年後へ向けての選手強化。その中心になるべき若手選手たちも、すでに頭角をあらわしている。

<水泳>黄金世代がピークに
 今年4月に東洋大の準教授兼水泳部監督に就任し、萩野公介(19)や山口観弘(18)を指導するようになった平井伯昌氏監督は、大学のプールを拠点にして、学生だけではなくチーム平井に所属する寺川綾や松田丈志、北島康介などの社会人選手も一緒に練習できる環境を整えた理由をこう語っていた。

「五輪メダリストと一緒に練習できることは学生にとって幸福なことだし、得るものも多いはず。だがそれだけではなく、ゴールデンエイジといわれる今年の大学1年生は、大学4年でリオデジャネイロ五輪を迎えるが、年齢的には次の2020年が一番充実する時。東京に五輪が来ることも想定して、大学を卒業しても練習ができる環境を今から準備しておきたいという気持ちもあった」

 ロンドン五輪400m個人メドレー銅メダリストで、今年の世界選手権でも400m自由形と200m個人メドレーで権メダルを獲得した萩野公介や、世界選手権400m個人メドレー優勝の瀬戸大也(19)、200m平泳ぎ世界記録保持者の山口観弘は、25〜26歳という絶頂期で東京五輪を迎えることになる。

 萩野と瀬戸は個人メドレーを基盤にするが、「得意種目では世界でメダルを争えるくらいでないと、個人メドレーで金メダルを獲れない」という高い意識を持つ。マイケル・フェルプスやライアン・ロクテ(ともにアメリカ)のようなオールラウンダーを目指しているだけに、複数の種目でのメダルも視野に入れている。次のリオデジャネイロ五輪でも金メダルを目標にするが、さらに成長した姿を東京で見せてくれるはずだ。

 一方、高3で世界記録保持者になった山口は、2分07秒01という記録だけが先行して苦しんだ時期もあった。だが、初めての世界の舞台だった今年の世界選手権では決勝へ進出。平井コーチの下で再スタートを切る準備は整った。

 大学1年のゴールデン世代の1学年上には、200mバタフライで松田の後を継いで世界を狙おうとしている小堀勇気(19)がいる。彼は自由形も得意としているだけに、萩野とともにこれまで世界から離されていた自由形のレベルアップもしてくれるはずだ。

 女子では平泳ぎにロンドン五輪代表の高校生の渡辺香生子(16)や、中学1年になったばかりの今年4月、日本選手権200mで3位に食い込んだ今井月(13)がいる。小6になってから急激に力をつけた今井は153cmと小柄ながら、足のサイズは25・5cmでキックの強さが武器。今年はジュニアの国際大会を飛び越して10月の東アジア大会でシニアと戦うことになった。ふたりが急激に進化をしている世界に目を向けながら戦っていけば、鈴木聡美の後継者になれるだろう。

<陸上>男子短距離勢に注目
 陸上では男子100mの山縣亮太(21)が28歳、桐生祥秀(17)が24歳と、充実した時期に東京五輪を迎える。山縣はもともと、「リオの次の五輪が自分としては集大成の大会になる。そこで最高の結果を出すためにも、リオまでには9秒台を出して決勝に残れる力をつけておきたい」と話していたが、東京五輪決定後、あらためて「7年後ということで目標はまだ漠然としていたが、地元開催の東京になり、モチベーションはこれまでより高くなる」と語った。

 男子短距離には10年世界ジュニア200m優勝の飯塚翔太(22)もいる。桐生と山縣はこれから200mにも挑戦する予定だが、100m9秒台、200m19秒台の選手が3人以上いれば、4×100mリレーも常時メダルを狙えるようになる。