学校内や教室内において自然発生するヒエラルキーを、インドのカースト制度になぞらえた「スクールカースト」という言葉。スクールカーストは、いじめの背景に潜んでいることも多く、見逃せない問題となっています。数年前に比べて教室の生徒数は少なくなり、教師の目が届きやすくなったにも関わらず、この問題は解決しません。

以前から、教室内での序列付けのようなものは存在していましたが、その指標は学力や運動能力などの目に見えるものでした。しかし、現在のスクールカーストでは、話し方や雰囲気、容姿などの主観的な判断材料によって序列が決まることも珍しくはありません。

他者との些細な違いで発生してしまうスクールカースト。これをなくすためには、一体どうしたらいいのでしょうか。

「簡単な方法がある」と語るのは、若手文化人として様々なメディアに引っ張りだこの社会学者・古市憲寿氏。アニメ・ゲーム制作会社「ガイナックス」設立者・岡田斗司夫氏との対談(書籍『僕らの新しい道徳』より)のなかで、「学級をなくしてしまう」こと及び学校の「予備校化」を提案しています。

「ばらばらの個人が、朝から晩まで同じ空間に軟禁されているから、細かな『違い探し』にみんなが躍起になって、スクールカーストが生まれてしまう。だから、学級制度をやめて、みんな好きなカリキュラムを組むようにすればいい」(古市氏)

スクールカーストについて研究した書籍『教室内カースト』の著者・鈴木翔氏は、学校の先生がスクールカーストを強化している側面もを指摘しています。教室内の運営をスムーズにするために、目立っているカースト上位にいる生徒と仲良くする先生がいるというのです。

「だったらいっそのこと、学校の成績もスクールカーストでの振る舞いをもとにつけてしまえばいいんじゃないの?」と主張するのは、岡田氏です。アメリカの学校では、スクールカースト上位にいる学生を教室運営に貢献したとして、評価することが多いというのです。

「現にアメリカはそうしているよね。明確な点数をつけるわけではないけど、先生の推薦状でいい大学に入れるかどうかが決まったりするじゃないですか。アメリカンフットボールのこのポジションにいたら、先生から推薦状がもらえてこの大学に行けるというようなことが、当たり前になっている。彼らはスクールカーストを現実のポイントとして活用していますよね」(岡田氏)

古市氏も岡田氏の意見に賛成なようです。「確かに、アメリカにならって堂々とやった方が、社会の現実に近づきますよね。日本でも就職活動や会社での評価は、アメリカ以上に属人的な評価が大事になるわけですから」と、スクールカーストの上位に入ることができる能力を、社会に出てから必要な力として、認めています。

予備校化を推進するか、序列は必然として逆手に利用するか。スクールカーストの問題を解決方法を導き出すためには、長い時間が必要になりそうですが、まずは多くの人々がこの問題に関心を持つことが、何より大切なのかもしれません。



『僕らの新しい道徳』
 著者:岡田斗司夫 FREEex
 出版社:朝日新聞出版
 >>元の記事を見る



■ 関連記事
小泉元首相の秘書官・飯島勲氏が語る"スキャンダル記事の消し方"
「モチのロン」「冗談はよしこさん」... 消えた昭和の"絶滅種"
東アジアはひとつになれる? サザンの新曲に込められた想い


■配信元
WEB本の雑誌