シュガーレスタイプのタブレット(錠菓)として圧倒的な人気を誇る『ミンティア』。94年もの歴史をもち、国民的飲み物ともいえる乳酸菌飲料の『カルピス』。今春、この2つの強力なブランド同士のコラボレーションが実現した。それがアサヒフードアンドヘルスケアタブレットの「カルピス×ミンティア」。その小さなタブレットには、開発者の甘ずっぱい思いが込められていた。

 小さなプラスチックや缶のケースに入ったタブレット。気分転換、眠気覚まし、口臭予防という3大効果で人気はうなぎ上りだ。タバコやガムの代わりに嗜む層も増え、今や市場は、年間240億円にも上るといわれる。

「個人的には、1000億円市場に成長するのも夢ではないと思っています」

 こう語るのは、食品事業本部食品マーケティング部チームリーダーの後藤祥仁。入社以来10年以上営業畑で活躍。昨秋、『ミンティア』のマーケティングチームに就いた。

「営業担当は、商品に対して独特の見方を持っているんです。それは、『この商品は売り場でどれだけ強くお客さまに訴求できるか?』ということ。強く訴求できる商品なら『これは売れる!』と確信できます」

 着任早々、会社上層部からある指令が下った。カルピス社が新たにアサヒグループ入りすることが発表されたときだった。その指令とは──『ミンティア』と『カルピス』とのコラボ商品を開発せよ──。両社の看板商品同士の初のコラボを狙ったのである。

 後藤たち開発チームは、さっそく試作品作りにとりかかり、出来上がったサンプルをカルピス社の評価チームに試食してもらうことにした。自信の試作品──だが、カルピス社の評価は思いのほか厳しいものだった。

「乳酸菌が作り出す発酵感が足りない。もっと発酵感を出してもらわないと」

 カルピス社には味に対する徹底したこだわりがあった。それはもちろん『ミンティア』も同じだ。『カルピス』の味を優先しすぎると『ミンティア』らしさが薄れてしまう。その反対も然り。発酵で生まれる甘ずっぱさと爽快感、相反する味覚を両立させるにはどうすればいいか──。試作は何度も繰り返された。

 試行錯誤の末にたどりついたのは、従来の『ミンティア』の粒に『カルピス』の味を凝縮したキャンディチップを配合するという製法だった。

 納得のいく試作品ができた。口に入れるとまず、あの甘ずっぱい『カルピス』の味がする。そしてその味がやがて、すっきりとした爽快感に変わってゆくではないか。この後味は、紛れもなく『ミンティア』だ! カルピス社のOKも出た。『カルピス』の味を“本家”が認めてくれたのだ。

 すでに、発売予定時期までわずかな日数しか残されていなかった。パッケージも『カルピス』のアイデンティティを受け継ぐものでなければならない。独特のロゴ、爽やかな水玉模様……。そして誰が見ても『カルピス』とのコラボ商品であることがわかるパッケージデザインを作り上げた。

 今年3月、『カルピス×ミンティア』は発売されるや、後藤の直感どおり飛ぶように売れた。これまで『ミンティア』が売れていたコンビニだけでなく、ドリンクの『カルピス』と一緒に販促することで、スーパーでも売り上げを伸ばしたのである。

■取材・構成/中沢雄二(文中敬称略)

※週刊ポスト2013年9月13日号