引退について語った『風立ちぬ』の宮崎駿監督

写真拡大

第70回ヴェネチア国際映画祭の会見で公式発表された、『風立ちぬ』(公開中)の宮崎駿監督の引退発表は、世界中に激震をもたらした。それを受け、9月6日に、宮崎駿監督が、鈴木敏夫スタジオジブリ代表取締役プロデューサーと星野康二代表取締役社長同席の下、記者会見を行った。これまで何度も引退を示唆する発言をしてきた宮崎監督だが「今度は本気です」とマスコミ陣の前で明言した。

【写真で振り返る】宮崎駿監督の名作と引退会見

7月20日の公開以来、 7週連続で興行ランキング1位を獲得し、累計動員747万人、累計興収92.3億円(9月5日時点)を突破した宮崎駿監督作『風立ちぬ』。ヴェネチア国際映画祭では、日本映画として唯一コンペティション部門に出品され、熱い注目が浴びているなかの記者会見ということで、会場には、テレビが70台、新聞・雑誌・ウェブの200媒体(中国、台湾、韓国、香港、シンガポール、ロシア、アメリカ、スペイン、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、スウェーデンと13か国の海外メディアを含む)、総勢605人のマスコミ陣が詰めかけた。

宮崎監督は、引退は、加齢による体力の低下が理由だと説明。『かぐや姫の物語』(11月23日公開が控える)高畑勲監督について 「ここへ高畑監督も一緒に出ないかと誘ったんですが、『冗談じゃない』と言われて。彼はずっとやる気だなと思いました」と笑顔でコメント。

一番、苦労した作品については、『ハウルの動く城』(04)を上げた。「ゲームの世界をドラマにしようとした結果、格闘しました。スタートが間違っていたと思うんですが」。また、自身の作品群について「子供たちに、この世は生きるに値するのだ、それを伝えることが根幹だと思ってきました。それは今も変わっていません」と力を込めて語った。

また、今後、長編以外に、短編などの作品を手がける予定はないのか?という質問については「やってもやらなくても自由。前からやりたかったこと、そっちをやりたい。やりたいことはありますが、やれなかったらみっともないから言いません。文化人にはなりたくないんです。僕は町工場の親父なので、今後もそれを貫きたい」とのこと。

鈴木プロデューサーは、「今、現在、僕は『かぐや姫〜』の後、来年の企画に関わってます。僕も年齢が65歳。(宮崎監督の引退は)今後のジブリにいる人たちの問題でもあります」と言うと、宮崎監督は「やっと、上の重石がなくなるから、こういうのをやりたいってことが(鈴木プロデューサーに)届くことを願ってます」と、若き社員を激励した。

1時間半に及ぶ会見で、ユーモアを交えて、たくさんの質問に答えてくれた宮崎駿監督。現在の日本のアニメの歴代興行収入は、1位が『千と千尋の神隠し』(01)の304億円、2位が『ハウルの動く城』の196億円、『崖の上のポニョ』(08)の155億円となっている。『風立ちぬ』が、どんな有終の美を飾るのか、引き続き見守ると共に、素晴らしい作品群を放ってきた宮崎駿監督に心から感謝したい。【取材・文/山崎伸子】