年金積立金管理運用行政法人 運用資産120兆円!株式市場では古くから「需給は最大の材料」といわれる。世界最大の機関投資家であるGPIFは株式投資を積極化させる方向にあり、GPIFの組み入れ銘柄を先回り買いできれば高い投資リターンが期待できそうだ。


日本の公的年金を運用する巨大機関の最新動向は?

日本の公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用行政法人)。運用総額120兆円超の世界最大の機関投資家である。GPIFの投資行動は、値上がり株を探すヒントを与えてくれる。

GPIFは今年6月、国債など国内債券の投資配分を67%から60%に引き下げ、国内株式や外国の債券・株式の構成比を引き上げると発表した。昨年度は11兆円と過去最高の運用益を上げたが、今後は高齢化で年金支払額の増加が確実なため、より高い運用利回りを確保するためである。実際に、GPIFの国債保有比率は欧米や中東産油国の政府系ファンド(SWF)に比べて突出して高く、株式構成比を引き上げる余地は大きい。

GPIFは資金量が大きいので、資産配分比率を1%引き上げただけで1兆円を超える。このため、個人投資家の戦略としては、GPIFの買いそうな銘柄の先回り買いが有利になりそうだ。

GPIFの株式運用はパッシブ型が基本。TOPIX(東証株価指数)に連動するよう各銘柄の時価総額に応じた株数を保有している。ただ、これは?原則〞の話で、実際には、「エンハンスト(強化)」型という、TOPIXを2%程度上回るような「中リスク・中リターン」目標も併用される。「教科書通りに1株当たり利益が多い大型株を選び、そこから銘柄を絞り込む」という。

GPIFから委託された運用会社は、銘柄選びからタイミング選定までの作業を全面的に任されている。その代わり、運用業者の選定では、GPIFがかなり細かな点まで審査している。某運用会社幹部によれば、過去の運用実績や資産残高は当然のこと、投資方針の決定プロセスやリスク管理体制なども開示が求められ、業者側は誰が何をどう判断して運用しているかを説明しなければならないそうだ。

計量モデルを駆使するファンドでは、モデルの説明文や根拠となる論文の提出も求められるという。先の運用会社の幹部によれば「GPIFは損失を出した場合でも説明責任を果たせるよう、いつも理路整然と売買する運用業者を理想としている」ようだ。

GPIFが狙う、王道10銘柄とは…!?

ファーストリテイリング(東1・9983)
3万2100円(100株)
着実な利益成長に加え、長期的な経営拡大戦略も明示。日々の売買も活発であり、マイナス点が少ないのが強みだ。

住友商事(東1・8053)
1304円(100株)
三井物産や三菱商事に比べて経営効率を示すROEが高い。配当も高水準のため、長期投資のGPIF向きか。

住友電気工業(東1・5802)
1306円(100株)
製造業の中でもROEや自己資本比率の高さは群を抜き、時価総額1500億円超の大型株の中では最高スコア。理屈を買うGPIFが好きそう。

三菱食品(東1・7451)
2685円(100株)
ROE9%台でPBRは1.2倍台とおとなしめ。収益基盤が安定しているほか、IR(投資家向け広報)にも真剣に取り組んでいる。

日産自動車(東1・7201)
1044円(100株)
海外生産比率の引き上げなど、経営改革のスピードには定評がある。配当水準も高く、自動車セクターでは外せない銘柄だろう。

クレディセゾン(東1・8253)
2357円(100株)
流通系カード会社でトップ。業界トップ銘柄は真っ先に買いの候補として検討される。財務体質も堅実で、買いやすそうな銘柄だ。

東ソー(東1・4042)
348円(1000株)
総合化学の一角として海外展開を強化。化学大手は業績変動に周期性のある「シクリカル銘柄」と位置づけられ、機関投資家に人気だ。

住友林業(東1・1911)
1016円(100株)
年金系の長期投資家に古くから人気がある。売上高が変動しても利益率は一貫して上昇しており、経営管理能力の高さは超一流。

ニチレイ(東1・2871)
489円(1000株)
冷凍食品と冷凍・冷蔵倉庫が収益を支える。今期は最終利益が過去最高に接近の見込み。機関投資家は最高益や連続増益に弱い。

住友金属鉱山(東1・5713)
1278円(1000株)
高い収益性に加え、資産対比でも割安感が強い。外国人投資家の長期保有も多く、機関投資家に好まれる銘柄の代表でもある。



この記事は「WEBネットマネー2013年10月号」に掲載されたものです。