大人が泣く「あの花」が劇場版に。“アニメ食わず嫌い”に勧めたい

 この夏公開されたジブリアニメ『風立ちぬ』が、興行収入100億円に迫る大進撃を見せている。今回は特に子どもより大人の観覧者が多いと聞く。

「アニメはジブリ作品しか興味ありません!」という人、結構いるのでは? 20代30代になってテレビアニメに夢中になるなんて、アニオタだと思われたくないし…。そんな風に思っていた時期が、私(20代・女)にもありました。

 ところが、ある夜をきっかけに、私はアニメにハマってしまったのだ!

◆アニメ初心者もハマる……胸キュンな想いをもう一度!

 深夜、仕事に追われてすっかりへたばっていた私は、癒しを求めてテレビをつけた。そこには、もう戻ることのない“青春の夏の日”の匂いがプンプンするアニメが。電球に虫が引き付けられるがごとく、私はその雰囲気に惹かれて見入ってしまった。ストーリーの続きが気になって、DVDを借りたのが『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、通称「あの花」というアニメである。

 本作は、2011年にフジテレビ系列で深夜に放送されたオリジナルアニメ。幼なじみの死をきっかけに離れてしまった5人の高校生が再び集まり、罪の意識を抱えながら成長していくひと夏の物語だ。

 私が入れ込んでしまったのは、5人のうちの1人の女の子。主人公のことが好きなのだが、彼はユーレイになって現れたという死んだはずの女の子に夢中。自分の想いは届かず、「ああ、やっぱり私はあの子に敵わないんだ」なんて惨めな気分を持て余す。確かにありました、そんな時代! あの頃の切ない気持ちを思い出して、キュンとしてしまう私……。

 このアニメが劇場版となって、8月31日に公開された(新宿バルト9ほか全国でロードショー)。

 張り切って、初上映される9時から観ようと近くの映画館へ。土曜の朝早くにも関わらず、映画館のチケット売り場はたくさんの人でごった返していた。かなりの人気がうかがえる。ストーリーは、テレビアニメから一年後の夏を描いたもの。とはいえ、放送された物語のダイジェスト版とも言える内容だ。

 高校生だったあの頃の、甘酸っぱい想いをもう一度体験したい人はぜひ!

●劇場版公式サイト http://www.anohana.jp/

◆切り絵が作る、影と光の美しいコントラスト

 こうして、アニメの面白さに気付かされた私は、ほかにも大人の女が楽しめるものはないかと探してみた。

 見つけ出したのは、2004年に公開された『プリンス&プリンセス』。フランスアニメ界の巨匠、ミシェル・オスロが約10年かけて構想を練ったという6話のオムニバス作品である。全編が繊細な影絵で幻想的に描かれ、そのエキゾチックな雰囲気はまさに大人が見るにふさわしい。

 時空を超えてさまざまな国のプリンスとプリンセスが登場する中、第4話は「泥棒と老婆」と題する19世紀初めの日本を舞台とした物語。貧しい青年が、老女から豪華な腰掛けを奪おうと企むのだが、これがとんでもない妖怪ばばあだった。

 老婆に命じられるままに、青年は彼女をおぶったまま西へ東へ。そこで登場する富士山や虹の松原の切り絵が、実に美しい。影の合間でキラキラと光るイルミネーションにウットリ…。老婆と青年のどこがプリンスとプリンセスなのか、というツッコミも忘れてしまう。

 エッジの効いたユニークな物語と美しい画が、日々の疲れを忘れさせてくれるアニメだ。

◆作り込んだ世界観に引きこまれる……

 世界的に名高いアニメ監督の一人である押井守監督。『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』などが超有名だが、アニメ初級者である私が特にハマッたのが『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(2008年公開)である。

 平和を実感するために“ショーとしての戦争”が行われる中、思春期のまま戦闘機のパイロットを務め続ける通称“キルドレ”たちの苦悩を描く。

 物語のあちこちに「アレ?」という不可思議な出来事が出てくる。全体に散りばめられたその謎をつなぎ合わせ、最後に「ああ、そういうこと!」と納得させられる。納得したところでもう一度見たくなる作り込んだ物語が魅力。

 秋の夜は始まったばかり。さて、次はどんなアニメを見よう?

<TEXT/佐藤来未(Office Ti+)>