「打ったら来年残す」とは何という無神経な発言だろう!
この人に限らずNPBの監督には、メディアに対し選手の尊厳を踏みにじるような発言をする人物が多いが、これは特に看過できないものだ。

今、セ・リーグでもっとも注目すべきカードである9月3日の広島対中日3連戦の初戦は雨で中止になった。
広島は初戦で先発予定だったエースの前田健太が、第2戦にスライド登板することが予想される。
冒頭の発言は、中日の高木守道監督がマエケン攻略のキーマンとして、長打力のあるマット・クラークを挙げ、彼への期待を込めたコメントの一部だ。
私は毎日購読している某スポーツ紙の記事でこのことを知った。

もちろん悪意は無かったと思う。
また、中日の事情は詳しくは知らない。
高木監督の場合は、かなり選手の契約に関し発言権が有るのかもしれない。
しかし、契約は本来フロントの責任業務だ。
監督が、さも自分に決定権があるような発言をすることはいかがなものか。

また、「契約」とは選手にとって生活権に関わる大変重要で繊細な問題だ。
それを、記者団との会話の中でジョークのネタとして扱うのは、あまりにクラークに対し失礼だと思う。

高木監督は、記者に対し「言うといて!」と告げたと言う。
もし、クラークが記者から「明日、前田を打てば来年も契約を延長しても良いと監督が言っているがどう思うか」と質問されたら、どう反応するだろうか?
「契約継続は、1試合の結果ではなくシーズンを通じてのパフォーマンスで判断されるべきではないのか?」
「どうして、(契約という)重要な話を直接してくれないのか?」
こう思い、激怒し失望するのが普通の人間だろう。
また、高木監督の無神経な発言を何の疑問もなく(と思う)報道していた某スポーツ紙の見識にも失望を禁じ得ない。