来春の消費税増税を見送るデメリット

写真拡大


来年4月に消費税は増税されるか?

8月31日、6日間にわたった消費税の点検会合が終了しました。消費税を2014年4月に8%に上げることに賛成したのは有識者60人のうち44人(約73.3%)でした。あくまで憶測ですが、このような会合が必要とされたのは「安倍首相が来年4月に増税しないで済む理由付けを求めている」と考えています。したがって、現時点での消費税増税の実施時期・増税率は未定といえます。

まず、消費税増税を先送りした際の生活者へのメリットを見てみます。「総務省統計局家計調査勤労世帯の家計収支の状況(平成24年)」によれば、1世帯当たり1か月平均の勤労世帯の収入は467,774円。非消費支出(税・社会保障費等)は83,923円で、可処分所得(いわゆる「手取り」)は383,851円です。うち、不課税取引や非課税取引分として住居・保険医療・教育を除くと231,000円となります。3%消費税が増税されたとすると、6,930円の負担増。増税が実施されなければ、支出に対しては1.48%、可処分所得に対しては1.81%の節約をせずに済みます。


生活者が最も嫌う「不確実性」によりデフレ脱却が遠のく

しかし、保留期間も税率も未定では、生活者が最も嫌う「不確実性」が発生します。「現在、生活費をこれだけ使っているが、将来も大丈夫だろうか?」と心配している人が、シミュレーションの結果として生活費を30万円から25万円に削減することを求められたとしても、それで安定するとわかれば安心します。教育資金の準備や住宅ローンの返済の目途、そして、老後資金の蓄えなど、本人にとって不確実なものがデータによって明示されキャッシュフローが成立すれば、趣味や旅行などにも支出しやすい傾向にあります。

現時点で多くの人が、来年4月の消費税増税は家計に織り込み済みです。それが一旦先送りされると、「社会保障制度は大丈夫か」「次の増税時期には何%上がるのか」といった不安な心理状態に置かれます。そのため、貯蓄などの防衛行動に移り、財布の紐が閉まります。消費にはマイナスに働き、逆にデフレ脱却は遠のいてしまうでしょう。


増税延期が余計に家計を直撃

また、海外の機関投資家や経済機関、経済評論家からも、消費税増税を先送りすることで日本の財政再建に対する覚悟が疑われます。「日本は何も変われない」との判断から国債が売られ長・短金利が上昇すれば、変動金利型住宅ローン金利が上がり、家計を直撃します。さらに、資金が海外に逃避すれば、新興国と同様、株価下落と円安になり、エネルギー・食料品などの高騰も予想されます。家計はより苦しくなるでしょう。以上から、メリットは極めて限定的といわざるをえず、デメリットは計り知れません。


続きと写真・図を含む記事全文はこちら>>


■JIJICOとは?
専門家サイト『マイベストプロ』が開設する専門家による時事ネタコラムサイトです。